放射能汚染プロジェクト

宮城県の放射能汚染の状況について

宮城県内の放射能の空間線量の経時変化を記録した2つのグラフがあります。
1つは宮城県が仙台市以南の7ヶ所~10ヶ所で3月14日から測定した空間線量をグラフにしたものです。
http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/graph.htm
3月16日の午前12時頃に山元町の山元町役場付近で1.59μSv/hの最高値を記録しています。
もう1つは東北電力の女川原発の敷地境界に6ヶ所設置されているモニタリングポストで記録されたデータです。
http://www.tohoku-epco.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2011/04/02/110402_g_t1.pdf
3月13日の午前1時50分にモニタリングポストMP-2で最大21μSv/hが記録されました。
原子力災害対策特別措置法第10条は通報基準値5μSv/hを越えた場合には関係機関に通報する事を義務付けているので、東北電力は13日午前12時50分にこの通報をしています。
女川原発からの放射能漏れが疑われますが、モニタリングポストで5μSvが観測される場合、排気筒放射線モニタの指示値が1,650cps(1秒間に放射線測定器で測定した放射線の数)となるはずなのに、この時は44~47cpsと十分低い値になっていたので、女川原発からの放射性物質の放出によるものではないと説明しています。

仙南の山元町のピークが3月16日で仙北の女川町のピークが13日であるのは、順番が逆のように見えますが、群馬大学の早川由紀夫教授(火山学が専門)の次の図が説明してくれています。
http://gunma.zamurai.jp/pub/2011/18juneJG.jpg
福島第一原発から牡鹿半島を通って仙北から一関の方に向かう放射能の流れがあります。
1号機で水素爆発が起きた3月12日には福島原発から海岸線に沿って北上する風が吹いていて、その風に乗って放射能が女川原発に到達したのが13日午前1時前後、この風が登米・栗原・大崎を放射能汚染させ、稲わら・牛肉のセシウム汚染を引き起こしました。
3号機が水素爆発した14日、4号機の水素爆発の15日には飯館村に向かう方に風が吹いていて、飯館村を汚染し、風向きの変化で福島から郡山、那須塩原を汚染して、群馬県の方まで触手を伸ばしたというのがストーリーでしょう。この放射能雲が宮城県境の仙南地区まで流れて、16日午前12時前後に山元町まで達したという事です。
この放射線量がピークに達した時点で、流れて来た放射能雲の中にどのような放射性核種がどの位の量含まれていたかというデータが被曝量を知る上で大事なのですが、宮城県にはその様なデータが残されてはいないというのが掴めている状況です。当然ヨウ素131もかなりな量流れて来ていると思いますから、子供たちがどの位それを甲状腺に取り込んでしまったか心配です。

この結果宮城県全域が放射能汚染地帯となりました。文部科学省と宮城県が6月22日から30日まで宮城県の防災ヘリコプターを使って行った航空機モニタリング測定結果が公表されました。
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/07/1305819_0722.pdf
特に別紙1と別紙4を見て下さい。
ほとんどが1万Bq/m2~3万Bq/m2(濃い茶色)以上になっています。法律上一般の人が立ち入れない放射線管理区域が4万Bq/m2の汚染ですから、薄い緑・紫・薄い紫の地域は放射線管理区域に相当します。私たちは今後この様な汚染の中で暮らして行かなければなりません。
参考1に宮城県内の空間線量の図がありますが、もっと細かく見て行けばあちこちにホットスポットがありますから、それは本ホームページの「放射線測定プロジェクト」に順次掲載するデータを見て下さい。

米の収穫の時期が近付いてセシウム汚染が心配されていますが、県内の土壌汚染の調査はほとんど行われていません。後手後手です。
数少ないデータとして田植え前に水田土壌の放射能を測定した結果があります。
http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/dojotyousa230408.pdf
独自に測っている人たちのデータも大体この位になっている様です。
ただ測定地点が14ヶ所だけですから、もっと高い地点がある可能性は否定出来ません。
水田の土壌から玄米への放射性セシウムの移行の割合は0.1(10%)とされていますから、玄米の暫定規制値500Bq/kg以下になるためには、土壌汚染は5000Bq/kgが上限だという事になっています。
どういう結果になるでしょうか。

(2011.8.22)