脱原発東北電力株主の会が株主総会(6月28日)に提出した事前質問書に対する東北電力の回答です。
事前質問書に対する株主総会での回答は一括回答にすぎないので、株主総会後に全ての質問に答える場を設定しています。
2017年6月28日『第93回東北電力定時株主総会への事前質問書』と東北電力の一括回答及び事後回答
以下、抜粋です

脱原発東北電力株主の会
『第93回定時株主総会への事前質問書』と
主な東北電力の一括回答及び事後回答【抜粋】

11.東京電力福島第一原発事故の損害賠償費用について、一般負担金として当社の2016年度の負担額、1kWh当たり、1世帯当たりの負担額はいくらですか。
【回答】一般負担金は、事業者間の相互扶助の仕組みによる原子力事故にかかわる賠償への備えとして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき負担するものです。当社の2016年度の一般負担金は、107億910万円です。2013年の料金改定では年間107億910万円を料金原価に算入しており、1kWh当たりでは約0.14円になります。当社の平均的なご家庭の電気料金モデルである30アンペア契約で、使用量が月260kWhの場合における年間のご負担額は、約440円となります。

13.女川原発1号機は発電から33年経過しており、再稼働のメドも立っていない古い原発です。当社として、あくまで再稼働を目指しているのか、廃炉を視野に入れて検討しているのか現状を教えてください。
【渡部副社長】次に、廃炉の検討についてであります。原子力に限らず、発電設備については、将来を見据えて運転を継続するのか廃止にするのかなど、常々検討を行っています。原子力の場合は、運転年数や新規制基準への適合性、安全対策工事費がどの程度必要になるかなど、安全確保を大前提に、安定供給・経済性・環境適合の観点から、総合的に評価することとしております。女川1号機は運転開始から33年が経過しておりますが、現時点で廃炉を判断する状況にはないと考えております。

14.2012年7月の固定価格買い取り制度(FIT)の開始に伴い、再生可能エネルギーは飛躍的に伸びています。しかし、一方で送電網への接続が、容量不足を理由に拒否されているという現実もあります。送電網の拡充、整備も重要ですが、蓄電池の配備の増大、蓄電技術の研究開発が電力事業者にとっても喫緊の課題です。当社としての蓄電対応について教えてください。
【回答】蓄電池は、出力変動対策として効果的であることから、当社は国の実証事業として、西仙台変電所、南相馬変電所へ大型蓄電システムを導入し、再エネ導入拡大効果等の検証を実施しております。なお、蓄電池は、充電時・放電時における電力損失や、現状非常に高価な設備であること等の課題があることから、その効果的な導入方法を検討していくこととしております。

15.当社の原子力発電所での苛酷事故(シビアアクシデント)の対策・補償等について、一昨年・昨年の質問に対する回答にあった、事故シナリオの内容を明らかにして下さい。国際事故評価尺度レベル7までの事故を想定していますか。

【渡部副社長】続いて、シビアアクシデント対策についてであります。当社は、国際原子力放射線事象評価尺度のレベル7である福島第一事故と同様の事故に至ることのないよう、さまざまな事故シナリオを想定したうえで、有効な安全対策を講じています。事故シナリオの内容としては、例えば炉心損傷事故では、機器の故障や操作の失敗、地震・津波などの要因により原子炉の安全機能が損なわれることを想定しております。また、格納容器破損事故では、原子炉の破損により格納容器に水、蒸気等が放出されることで、圧力や温度が上昇することにより格納容器の閉じ込め機能が損なわれることを想定しています。

16.使用済み核燃料及び放射性廃棄物の最終処理・処分について、使用済核燃料を直接処分する場合と全量再処理する場合の費用は、総額でそれぞれいくらとなりますか。危険性や経済性を含め、総合的な判断をするためにこの計算も必要と考えて質問しています。
【回答】国のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会報告書によると、再処理する場合の費用はkWh当たり1.39円、直接処分の場合はkWh当たり1.00~1.02円と報告されております。なお、再処理には、資源の有効活用という側面と放射性廃棄物の減容という側面があるため、経済性だけで判断されることは望ましくないものと考えております。

17.2016年度の東北および新潟の電力消費量全量に対し、当社販売電力量はどの程度のシェアを占めていますか。また、契約電力の減少の原因は何ですか。2017年度は何キロワット時の販売を見込んでいますか。 
【岡信副社長】まず、電力販売の状況についてであります。平成28年度の販売電力量につきましては、契約電力が減少したことなどにより、前年度に比べ1.1%ほど減少しております。契約電力が減少した理由は、小売り全面自由化による競争の進展や、節電・省エネなどの影響によるものです。他の事業者へ契約を切り替えたお客様につきましては、5月31日現在で約14万5400件であり、平成28年度の東北6県および新潟県における当社販売電力量のシェアは、96%程度となっております。
【回答】…本年4月に公表した業績見通しでは、平成29年度の販売電力量を726億kWhと想定しており、28年度の実績を下回るものとみております。

21.昨年、ベトナム国会で原発建設計画の中止案が可決され、さらに、今年1月、台湾の立法院で、2025年までに3原発全6基を廃炉にする脱原発法案が可決されました。日本でも、福島原発事故後「原発ゼロ」が続き、消費者は、原発がなくとも電気は間に合うことを認識しました。原発は「安定供給、経済効率性、環境適合」がないことはすでに明らかとなっており、当社の都合だけで「将来にわたって一定規模を確保していく必要があります」と、消費者に原発を押しつけ居直るべきではないと思いますが、いかがですか。そのような傲慢な姿勢が、電力小売り自由化の中での「契約電力の減少」を招いているのではないですか。
【回答】お客様の節電への取り組みや高経年化火力の活用等あらゆる対策を講じることで、結果として供給力が足りている状況であり、供給力は万全とはいえません。足元では火力発電に80%程度依存しており、燃料費やCO2排出量の増加等の点からも、問題と考えております。原子力は、国の長期エネルギー需給見通しで2030年度における電源構成の20~22%を占めるとされ、当社としても重要な電源であると考えております。火力、再エネ、原子力など各電源を、バランスよく組み合わせていくことが重要です…

28.昨年6月11日、女川2号機原子炉建屋の非常用ディーゼル発電機の配管接続部分から潤滑油約0.3㍑漏出事故。7月22日には、7月8日に2号機の原子炉格納容器圧力逃がし装置(フィルタベント系)の設置工事作業中に、地震計を誤作動(警報発信)させ、女川原子力規制事務所から作業管理改善指導文書を受領したことを公表。7月27日には3号機でディスプレイ交換作業を行っていた際、国や自治体へ火災発生警報誤発信事故。8月5日には3号機の非常用ディーゼル発電機に異常。11月28日、1号機の原子炉建屋地下2階で、原子炉冷却水や使用済み核燃料プールの水を海水で冷やすための熱交換器室に海水約1万2500㍑が漏洩する事故。さらに、今年2月15日、2号機高圧炉心スプレイ系ディーゼル発電機で、発電機軸受潤滑油冷却器フランジ部(接続部分)から冷却水漏れ事故。3月27日、2号機原子炉建屋地下3階で、仮設排水ポンプの撤去作業中に、ホース接続部分から放射能汚染水が漏れ出し、しぶきが作業員3人の顔や服にかかる事故。この間の女川での事故続発とその原因の‘基本的注意事項を守らない・気付かない単純ミス’を見ると、1400名参加の「8.19ヒューマンエラー防止に係る決起集会」など何度繰り返したところで、「運転経験の減少,技術力低下の懸念」など一向に解消できないことは明らかです。宮城県の「女川原子力発電所環境調査測定技術会」「女川原子力発電所環境保全監視協議会」「女川原子力発電所2号機の安全性に関する検討会」で報告するたびに、委員からまたかと呆れられていますが、この様な企業体質を根本から変革することは可能ですか。
【回答】原子力品質保証活動のもと、継続的な改善による業務品質の向上に取り組む中で、複数のヒューマンエラー事象等を発生させ、地域の皆様にご心配をおかけし、誠に申し訳なく思っております。策定した再発防止対策を確実に実施しヒューマンエラー低減等に努めていくことはもちろんのこと、当社および協力会社社員も含めて、原子力に携わる事業者には高い業務品質が求められることをいま一度認識し、品質マネジメントシステムの検証を繰り返し改善していくことで、業務品質のさらなる向上ならびに原子力発電所の安全確保につながるものと考えており、しっかりと取り組んでまいります。

30.今年1月17日、女川原発2号機の新規制基準の適合性審査会合で、東日本大震災後、原子炉建屋の耐震壁に多数のひび割れが生じ、地震に対する剛性(抵抗力)が最大70%低下したことが公表されました。目視点検により、ひびは1130カ所、はがれが7カ所で見つかり、ひびは、延べ長さ約1300㍍、全て幅1ミリ未満ですが深さは測っておらず、貫通している可能性も。はがれの総面積は約0.03㎡。放射線量が高い場所などは点検しておらず、損傷箇所はもっと多いとみられています。原子力規制委員会は、「繰り返し地震を受けたことが女川の特異性。剛性が落ちれば内部設備に何らかの負担が掛かる」と指摘、剛性低下の状況や影響を詳細に示すよう求め、3月8日には、「前例がなく、慎重に審査する必要がある」との見解が示されました。これに対し、当社は「構造上の問題はない」と強弁していますが、審査の長期化は避けられません。原田社長が2月の定例記者会見で述べたように、「追加対策と工事量の増加で、工事費が増える」と思われますが、どう対応するのですか。現在、3千数百億円と見込まれる工事費は、今後どのくらい増加するのですか。
【回答】女川2号機につきましては、原子炉建屋でひび割れが確認されておりますが、建屋の強度に対して影響を及ぼさないと評価しており、耐震安全性に問題はないと考えております。…

45.当期末現在での日本原燃(株)への出資額、再処理契約量、再処理前払い金は、それぞれいくらになっていますか。
【回答】当期末現在での日本原燃への出資額は346億円です。再処理前払金の残高は約116億円です。
【回答を控える】日本原燃への再処理契約料については、再処理等拠出金法の施行に伴い、従来の電力と日本原燃間の再処理契約が、昨年11月に使用済み燃料再処理機構と日本原燃間の委託契約に移行したことから、当社からお答えすることはできません。

46.当社の保有する核分裂性プルトニウム量は、当期末にはいくらになっていますか。kg単位で明らかにして下さい。どの再処理工場にいくらずつありますか。
【回答】平成27年12月末時点で、核分裂性プルトニウム量として約439㎏を保有しております。内訳としては、国内で約75㎏、うち日本原燃約64㎏、日本原子力研究開発機構約11㎏、海外で約365㎏、うちフランスで約206㎏、イギリスで約159㎏、となっております。…

53.節電への取り組みによる当社販売電力量の減少はどの位になっていますか。
【回答】節電への取り組みにより、平成28年度においては30億kWhを上回る販売電力量の減少があったものと推計しております。

56.昨年度の夏場と冬場で需給の最も厳しかった時期で、供給力と需要はどのような数値でしたか。供給予備力はどの位ありましたか。
【資料】配布資料に記載のとおりです。
・平成28年度の東北エリア夏季需給状況
   最大電力1,286万kW,供給力1,606万kW (予備力320万kW,予備率24.8%)
・平成28年度の東北エリア冬季需給状況
   最大電力1,371万kW,供給力1,576万kW (予備力204万kW,予備率14.9%)

63.原子力発電施設解体費として当期47億500万円が計上されています。前期47億2700万円から減額していますが、その理由は何ですか。当社の4基の原発の廃炉費用はいくらと見積もられていますか。これまで積み立てられた廃炉処置費用の総額はいくらになっていますか。
【回答】人件費の減少などにより、原子力発電施設解体費の総見積額が減少したことによるものです。
【資料】原子力発電施設解体費の総見積額および引き当て済みの原子力発電施設解体費は、配布資料に記載のとおりです。
・「原子力発電施設解体引当金に関する省令」に基づき見積もった廃炉費用
   :4基合計で2,287億円程度
・これまでの引当総額:約870億円

64.電気事業営業費用の原子力発電費の中に原賠・廃炉等支援機構負担金として当期も107億900万円が計上されていますが、この負担金は今後も同額の支出が続いて行くのですか。増額されることはありませんか。
【回答】原子力損害賠償・廃炉等支援機構の一般負担金の額は、同機構の事業年度ごとに、機構の運営委員会が定め、主務大臣が認可することとなっております。今後については、機構が、その時点での機構の業務に要する費用の見通しや事業者の収支状況を踏まえて判断する、と考えております。原子力事業の予見性確保の観点から、安易な引き上げを行わないよう、原廃機構に要望しております。なお、平成25年度から28年度までは、年間107億910万円と、同額の負担となっております。

71.当年度の販売電力量750億6000万kWhの内訳は、一般水力、地熱、火力、原子力別で、それぞれいくらですか。
【資料】配布資料に記載のとおりです。
・販売電力量に対する発受電電力量
   水 力   96億9千万kWh
(一般水力   96億3千万kWh)
   地 熱   10億   kWh
   火 力  679億6千万kWh(地熱除く)
   原子力        0kWh
   風 力   19億2千万kWh
   太陽光   30億   kWh
   廃棄物    4億1千万kWh
   その他  ▲29億1千万kWh
   合 計  810億7千万kWh
※「その他」は,市場取引や新電カヘの常時バックアップ分など。融通考慮後。

75.一般水力、地熱、火力、原子力別の設備利用率は、それぞれいくらですか。
【資料】配布資料に記載のとおりです。
・当社発電設備における設備利用率(平成28年度)
   水 力  32.3%(一般水力  39.6%)
   地 熱  45.6%
   火 力  54.8%(地熱除く)
   原子力   0.0%
   太陽光  13.4%

86.当年度の女川原子力発電所および東通原子力発電所での従事者被曝で、「年間20mSv」「年間5mSv」を超える被曝をした人は何人いましたか。女川原発と東通原発の運転開始以来の従事者被曝の集団被曝総線量は、それぞれいくらになっていますか。
【資料】配布資料の記載のとおりです。
・平成28年度
   年間20mSⅴを超える被ばく:実績なし
   年間 5mSⅴを超える被ばく:
    女川:1名(放射線業務従事者約2,700名のうち1名)
    東通:0名(放射線業務従事者約1,200名のうち0名)
・運転開始以来(管理区域設定以降)の従事者被ばく線量
  (平成28年度末)
女川:約40.30人・Sⅴ
   東通:約 2.06人・Sⅴ

92.東京電力福島原発事故による国民負担について経産省が行った新たな試算結果では、全体で20兆円を上回る見込みになっています。当社はこれまでにどの位の額を拠出していますか。当社は最終的にどの位の額になると想定していますか。当社の原発で過酷事故が起こった場合、当社がその全額を支払う能力はありますか。
【渡部副社長】原子力事業者は、万が一原子力事故が発生した場合に備え、民間保険契約および政府補償契約を締結しております。また、契約の限度額を上回る損害が生じた場合は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構により、必要な資金が援助されます。これは事業者間の相互扶助の仕組みにより、原子力事故に関わる賠償に備えるものでありまして、当社は一般負担金としてこれまでに約544億円を支援機構に納付しております。今後の納付額につきましては、支援機構が、その時点で業務に要する費用の見通しや事業者の収支状況を踏まえて判断するものとなっております。

名取変電所に関する質問書

4.世界保健機構(WHO)は、2007年6月に「EHC238」(電磁界と公衆衛生 極低周波の電解及び磁界への曝露)を発表、小児白血病になる可能性を正式に認め、予防的対策を求めています。EU諸国では「予防原則」に立脚し、子どもの保護を目的に極低周波では2~4ミリガウスの規制を実施しています。
当社は「国の規制値2000ミリガウス内であれば健康への影響はない」という部分のみを強調し、電磁波軽減対策など、予防的措置への取り組みを否定する理由をご回答下さい。
【渡部副社長】WHO(世界保健機関)の評価を受けた国の検討結果では、磁界の長期的な健康影響の可能性については、因果関係があると言えるほどの証拠は見当たらないとの見解が示されております。なお、欧州の一部の国では念のための政策をとりまして、非常に小さな値の規制を実施していることは承知しておりますが、WHOは、恣意的に低い曝露限度の採用に基づく政策は是認されない、と提言しております。変電所や送電線などの電力設備から生じる電磁界は、国際的なガイドラインや国の規制値に比べて十分に低いことから、当社は、人の健康に有害な影響を与えることはない、と判断しております。