脱原発社会をめざして 女川原発を廃炉に!

「仙台パワーステーションのモラルハザード」

(仙台港の石炭火力発電所を考える会 会員 水戸部秀利さんから寄稿があったので掲載いたします)

2017年3月8日夜、夢メッセ宮城の大ホールで仙台パワーステーション(以下PS 注参照)の住民向けの説明会が開催された。仙台港の石炭火力発電所を考える会(以下考える会)は1昨年来、住民説明会を幾度もPS側に要求してきたが一切応じなかった。計画段階で説明するのが常識だが、建物はほぼ完成し6月からの試運転という時期の開催である。しかも平日夜で不便な大会場を指定し、少数の口うるさい住民を会社側のサクラが取り巻き、アリバイ的説明会で終わらせようとするPS側の意図は見え見えであった。
 住民、環境保護団体、大学教授、医師などからなる考える会は、各自問題意識は持ちつつも、10人程度の手弁当の集団である。それぞれにネットワークは持ってはいるが、それらを駆使してどれだけの住民を会場に足を運んでいただけるか全く未知数であった。考える会の目標は、PSの意図を打ち砕くべく500人の大会場を埋めて住民パワーを示すことであった。
 約2週間前、PS側から説明会の通知を知った日の夕食時、「ガランとした会場なので、ペッパー君のようなロボットでも連れていきたいよ」とぼやいたら、妻が「ロボットは高い、行けたくても行けない人の代わりに、分身ウチワ持っていったら」と、段ボールと割りばしで簡易ウチワ作ってくれた。絵は雑だが確かに安上がりである。これならプラカードのような当局の持ち込み規制にもかからない。あえて理由を聞かれたら「興奮して熱くなるから」と答えればよい。以後、ネットワークを駆使し、口伝え、チラシ、HP、SNSを利用して説明会への参加呼びかけを広めていった。
 
3月8日当日、中野栄駅からのボランティアによるワゴン車送迎を終えて18:20会場に向かった。なんと夢メッセの広い駐車所は混みあっているではないか。会場に入ってさらにびっくり!500席がほぼ埋まっている。多くのマスコミも押しかけている。参加を呼びかけた考える会側も驚いたが、主催したPS側はもっと驚いたに違いない。用意した分身ウチワは、空席用ではなく、二人掛けように使うことになった。
型通りの説明に、会場からはブーイングや怒りのヤジが飛び交った。後半の質疑に入る前に、PS側が、急にマスコミ撮影禁止を伝えてきた。当然、会場から“公開”の大合唱がおこり、結局撮影可になる一幕があった。権力の横暴が目立つ昨今だが、民主主義の力を感じさせる一コマであった。なお、当日の模様はユーチューブにUpされている。


なお、PSの事業と問題点は、考える会のHPを参照願いたい。
https://sendaisekitan.wordpress.com/
 この事業者説明会に、予想を上回るようなたくさんの住民が足を運び、会場で不満を表明する背景には何があるのだろう。考える会が指摘するように、1)健康被害への不安 2)蒲生干潟への影響 3)地球温暖化促進 4)アセス逃れ 5)説明会拒否 6)被災地への汚染施設集積など 多くの問題を抱えた事業であるという認識と同時に、被災地・東北を蔑視する姿勢と誠意のない事業者に対する「怒り」がある。分身ウチワに書かれた「バカにするな」の文字がそれを象徴している。後半の質疑でも、「県の要請があったので、しぶしぶ説明会を開催した」という姿勢、「説明会を再度開催する気はない」という突っぱねる態度、なんでわざわざ仙台なのかと聞かれても、「石炭が運びやすく、電力が送りやすい」という事業者都合を平然と語る態度、「大気汚染はバックグランドを少し上昇させるだけで基準以下だから大丈夫」と言い張り、空気を汚すことに対する自省の念は全くない態度など、今回の説明会でこの「怒り」はむしろ増幅してしまった。
 私は、PSが自主アセスを行わない中で、自衛策として住民の健康特に環境汚染に影響を受ける弱者、喘息やアトピーなどを抱える子供さんたちのピークフローを使った健康調査を行う計画があることを説明し、稼働前後の評価を行うために稼働延期をしてもらえないかと質問したが、「稼働延期の予定はありません」と冷たくあしらわれた。

 長谷川代表が言うように、「利益は大阪に、電力は東京に、汚染とリスクは東北に」これは原発の構図と共通している。また、「大気汚染の上乗せは、環境基準以下だから我慢しろ」という姿勢は、低線量被ばくは受け入れろという原発政策と共通している。国もそうだが、企業PSもモラルハザードに陥っている。
 エネルギー政策において、原発ダメなら石炭、石炭イヤなら原発といった二者択一を主張する流れがあり、ネット上でも平然と書き込まれる。
昔、ジブリの作品で、風の谷のナウシカというアニメがあった。この中で炎を吐く赤い「巨神兵」の復活の場面がある。私の中では、この巨神兵はメルトダウンする原子炉のイメージと重なる。一方、石炭火力発電の再開は、私には地中に埋められたはずの「黒いゾンビ」の復活のように見える。未来に向かってこのどちらも復活させてはならないし、私たちが対置すべきは、省エネと再エネへのシフトである。
考える会が取り組んでいる石炭火力の問題は、脱原発を掲げる風の会のみなさんと一緒のスクラムを組んで取り組める課題だと思う。

注)仙台パワーステーション株式会社による計画
 仙台パワーステーション株式会社は、関西電力株式会社の100%子会社である株式会社関電エネルギーソリューションと伊藤忠エネクス株式会社の100%子会社であるJENホールディングス株式会社との共同出資により設立された会社です。現在、仙台港で石炭火力発電所の建設工事を進めていますが、環境アセスメント法に基づくアセス対象規模(11.25万kW以上)をわずかに下回る設備容量(11.2万kW)であるため、環境アセスメントを行っていません。また、地域住民への説明もないまま、既に着工しています。
 建設地のすぐそばには、東日本大震災から奇跡的に復活した蒲生干潟があり、たくさんの希少な生物が戻ってきています。さらに周囲4km圏内には小中学校や様々な商業施設があり、仙台・多賀城市民の生活拠点が広がっています。
石炭火力発電所が稼働すれば、地域住民の健康、蒲生干潟をはじめとする生態系、被災地の復興、地球温暖化などに様々な影響が考えられるため、1年以上前から市民の連名で事業者側に説明会の開催を求めてきました。しかし、その回答は残念ながら「その必要はない」というものでした。仙台パワーステーションは2017年10月から操業開始と発表しています。環境問題や健康被害に不安を抱く市民とのリスクコミュニケーションも行わないまま建設を進めていることは大変大きな問題です。
「仙台港の石炭火力発電所を考える会」のパンフレットから
PS) 仙台港に第二の石炭火力計画
3月11日の河北新報の記事では、第2の11万2000kWの石炭火力発電所の建設計画が報道されています。四国電力が、住友商事と共同で仙台港高松埠頭に石炭と木質バイオマスを混焼する火力発電所(出力11万2000キロワット)の建設を計画しているとのこと。仙台PSが言うように「仙台港周辺は、石炭火発の適地」のようです。このままでは被災地が石炭火発銀座になりまねません。

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