脱原発社会をめざして 女川原発を廃炉に!

宮城県の放射能測定体制について(2011.9.11)

宮城県は福島第一原発事故から3ヶ月も経った6月後半に、「東京電力(株)福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の影響に係る当面の測定方針」を発表し、11年7月から12年3月までの放射能測定の体制を明らかにしました。

http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/110629sokuteihousin_.pdf

宮城県の深刻な放射能汚染状況を考えると、この測定方針もまだまだ不十分なものだと思いますが、事故直後の貧弱な測定に比べれば、3ヶ月経って随分とましになって来たとは言えるでしょう。
原発で大事故が起こり、大量の放射能が放出された場合には、子供たちにヨウ素剤を飲ませるかどうか、それぞれの被曝量がいくらになるのかを評価するためにも、とにかく様々な放射能(空気中・土壌・飲料水・農作物など)を測って、そのデータを記録することが大切なのです。
ところが事故直後、宮城県はそれが出来ませんでした。県は所有する放射能測定器を全部、女川町にある原子力センターに置いておいた為に、大津波でその全てが流され、測定出来ない状態に陥っていたからです。

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20110324_12.htm

ここには宮城県の原子力行政の問題点が露呈しているのです。女川原発建設の問題が起こって以降、県は原発の問題は地元(女川町と石巻市)の問題で、他の県民には関係ないという考えで原子力行政を進めて来ました。大震災が起こる前に、プルサーマルの受け入れに同意するかどうかが問題になった時にも、プルサーマルはエネルギー確保や原発の安全性の確保に関係する重要な問題をはらんでいるので、全県民を対象にした公開討論会を仙台で開催するよう私たちが提言したのを無視して、石巻市・女川町だけでの講演会・シンポジウムで安易に受け入れを決めてしまった事に、それが如実に表れています。
この様な行政ですから、原発の危険性から全県民の命を守る為に、県内全域に放射能測定体制を網羅するのではなく、所有する全測定器を女川に置いていたために、その全てを失いました。その時県がどうしたかというと、東北電力の東通原発(青森県)から放射線を測るモニタリングカー1台とサーベイメーター1台を借りて、3月14日から仙南地区の8ヶ所(後に10ヶ所)で空間放射線線量を測り始めました。

http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/H23.3.14sokuteikekka.pdf
この測定で16日正午頃に山元町役場付近でピーク(1.59μSv/h)が観測されていますが、
http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/H23.3.16.pdf

この時大事な空気中に含まれる放射性物質の種類と量のデータは、測定器が無い為に測る事が出来ず残ってはいません。
福島第一原発事故以降、原子力安全対策室(原対室)は体制は女川対応から福島対応に変わっていると答えていましたが、県南だけでの測定では不十分で、県内全域に測定を広げて、空間線量だけではなく放射性物質の濃度も詳細に測るべきだという私たちの要求をここでも無視して、後に牛肉のセシウム汚染の原因になった県北の稲わらの放射能汚染の実態を把握することに失敗しました。
この様な宮城県の原子力行政の問題点は、福島事故が起こって間もない時期で、未だ事故の状況が深刻で放射能汚染が続いている時の村井嘉浩知事の発言に如実に表れています。3月23日の河北新報は「農産物の検査せず 宮城県方針」として22日の知事の記者会見で「東京電力福島第一原発事故で福島県内の農畜産物から放射性物質が検出された問題で、宮城県は県内の農畜産物に関する放射性物質検査を行わないことを決めた。」との発言があったことを報じています。
この方針は多くの批判を受けてすぐに撤回され、県は自前では出来ないために、東北大の協力をもらって3月25日から水道水・原乳・農産物などの測定を始め、その結果を公表し始めました。

http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/110325noutikusanbutu.pdf
http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/110327nousanbutu.pdf

この測定も自前の測定器を持たないために、測定する対象品目も少なく測定間隔も2週間に1回と間延びしていたために、汚染の全体を把握するものにはなっていませんでした。冒頭の「当面の測定方針」で測定間隔が1週間に短縮されましたが、それでも不十分です。
県内各市町村からの要望を受けて、県が県南部13市町に簡易型放射線測定器(HORIBA製・Radi PA-1000)を1台づつ貸与したのが5月2日、6月中に県内全市町村に配布が終わって、その測定器を使用して県内全域で空間放射線量が測定され公表され始めたのが7月11日からで、

http://www.pref.miyagi.jp/gentai/kekkaitiran.htm
学校・幼稚園・保育所等の校庭・園庭などの放射線量を、この簡易型放射線測定器などで測定し公表し始めたのは、6月から7月にかけての時期です。

http://www.pref.miyagi.jp/gentai/kouteisokuteikekka.html

子どもたちの被曝を考えれば、遅すぎると思いますが、データが出始めただけでも、少しは進みました。
宮城県全体の放射能汚染の状態は、県が文科省に要請し、6月末に県の防災ヘリコプターを使って行った航空機モニタリングの測定結果が7月20日に公表されて明らかになりましたが、

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/07/1305819_0720.pdf
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/07/1305819_0722.pdf

県内全域が福島第一原発から飛来した放射能で汚染されている状況がはっきりと示されています。
長く続く事が明らかな放射能汚染と向き合うために必要なのは、県内各地の土壌の放射能汚染がどうなっているのかを知る事が大切なのですが、その汚染マップは出来あがっていません。最近福島県内の土壌汚染マップが公表されていますが、

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf

この様な詳細な土壌汚染マップを宮城県も作成すべきです。
3月11日に全ての測定器を失って以降、宮城県は未だ自前の測定器を購入出来ないでいます。「当面の測定方針」の14ページに「Ⅵ測定体制の整備」として2012年3月末までに機器を整備すると書かれていますが、県民の命を守るための宮城県の本気度が疑われます。

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