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≪IC検討会「その5」追記1:IC系統区分≫ <2025.7.4記>
(以下はテキストのみ 上記pdfに図表が掲載されていますので、そちらをご覧下さい)
別稿「その5」の「◆ICドレン管接続の無断変更」で、「東電の【図6、7】でのタンクの系統区分(国・新潟県への報告)はいい加減・間違い」と書いたように、筆者は、【図1、2、5】等の壁側B系が正しく、【図6、7】の壁側A系が間違い、と思っていましたが、6.27検討会・資料3-2「中間取りまとめ(案)」を見たら、別添1-2図1【図17】に方角表記があり、なんと「壁側=西側がA系」でした。そして、【図17】や【図6、7】が「断面図・平面図」であり、一方、【図1、2、5】等はあくまで「模式図」なので、「壁側=西側がA系」である可能性が高まりました(筆者も驚きです!)。
すると、【図1】(非常用復水器の「東電原図」)は、今回の「中間取りまとめ(案)」のみならず、国会事故調・政府事故調等の各種「正式報告」に多数引用掲載されている最重要図面ですが、その「東電原図」の系統区分説明(通称「ブタの鼻」のベント管が設置された図右側壁面に近い方がB系)が“間違い”である可能性が高く、いくら「模式図」とは言え、最低限の正確性に欠けるのは非常に問題だと思います。
そこで、近日中に規制委に(【図6】の再循環系A・Bの当否も含めて)事実確認する予定です。9月号『鳴り砂』までには回答があると思います。
≪追記2:「SHC配管接続」質問への回答≫ <2025.7.4記>
別稿「その5」末尾記載の「SHC配管接続無断変更」に関する5.27規制委宛質問に対し、6.30に回答がありました。内容は「設置認可申請書の添付書類8は、基本設計の概念を示したものであり、実際の詳細設計を示したものではありません。詳細設計は工事計画認可書に示しており、このとおりに施工されているかを使用前検査にて確認することとしています。」(全文)です。
さすが“お役人お得意”の「朝ご飯論法」で、質問したSHC配管接続についての具体的言及は一切なく、「その5」に書いた伊方最高裁判決のポイントである「基本設計の重要性」を軽視する回答(基本設計は単なる概念)で、詳細設計(工認申請やその後の使用前検査)で確認されていれば問題なし、ということのようです。
そこで、回答されなかった「SHC配管接続」の事実確認する再質問だけを、念のために行なうことにしました。事実だけ回答してもらえれば十分なのですが…。
なお、「CUW配管接続」の質問は“時間の無駄”と思われますので、並行して行なっているIC・SHC・CUW配管接続に関する工認申請書の「開示請求」の結果を待って(開示決定未了)、図面等の現物を見て確認しようと思います。
≪追記3:「IC検討会」質問と回答≫ <2025.6.20記+7.4追記>
この間の「IC検討会」の議論に“隔靴掻痒”の感を抱いていましたので、思い切っていくつか質問をしてみました(意見だと単に「承ります」で片付けられるため)。それに対し、5.30に回答がありました。
【5.9質問】
『福島第一原発事故の分析検討会』の「非常用復水器(IC)に関する分析」について、以下の点について質問・意見します。検討会でご議論の上、随時ご回答願います。
1 東電の「運転上の制限(温度降下率)遵守」のため地震後に自動起動したICを手動停止した<47回検討会資料2-2・5頁等>との主張は、自動スクラムという異常発生時には「原子炉がスクラムした場合の運転操作基準」に従った必要な措置の実施を求め(保安規定77条2項)、その際「運転上の制限は適用されない」(同77条3項)と注記する『保安規定』や旧炉規法37条4項の保安規定遵守義務に反するのではないでしょうか。
2 3度のA系IC手動操作時の温度降下率(温度制限値不遵守の実態)をお教え下さい。
3 設計上・運用上の問題点検証<50回検討会資料6-2>のため、ICのユニット操作手順書を入手・公表し、手動操作時や自動起動時の手順(敦賀1とも比較)をお教え下さい。
4 スクラム・MSIV閉後は、炉心冷却維持・冷温停止に向け、『保安規定』77条2項・3項に則り、自動起動したICを継続作動させるのが最適だったのではないですか。
5 自動起動したIC2系統を継続作動させた場合の「津波襲来時」までの変化(崩壊熱発生量・炉圧・炉水温)およびICの状況(タンク水温・残水量・大気への放熱量)と、それに続く「津波襲来・IC不作動後」による炉圧・炉水温再上昇後のSRV作動による過渡変化(上記因子+水位)および炉心露出・損傷開始時刻を、解析してお教え下さい。
6 1号機運転員ら・幹部らに対する①~③の保安教育・周知の事故前の実施時期と内容、およびそれらが事故時点で未実施(先送り)ならその理由・法的根拠をお教え下さい。
①『保安規定』第4節を含む「異常時対応(中央制御室内対応および指揮、状況判断)」
②前年(2010.6認可)のIC作動圧変更を含む保安規定変更<47回資料2-1・4頁>
③前年(20110.2.11施行)の1号機「第22章 自然災害事故」手順書の新規作成
7 保安規定や手順書などの重要事項変更・新設後の保安教育・周知の実施時期・方法について、既存規定(3年間に一度等)が不十分だから先送りされたのではないですか。
8 事故時の適用手順書にかかる東電資料や各種事故調資料で、地震を導入条件とする6③の自然災害事故手順書(22-1大規模地震発生)に言及したものがあればお教え下さい。 以上
【5.30規制委回答(下線は筆者)】
原子力規制委員会における事故調査の目的については、東京電力福島第一原子力発電所の現場から得られる最新情報を収集・検討及び発信するとともに、事故当時から現在までに実際に起こった事象のうち安全上重要と考えられるものについて理解を進めることを目的としております。
その上で、調査対象については、廃炉作業の進展等の日々変化する現場の状況に、柔軟に対応しつつ、調査参加者等の関心も考慮して選定し、定期的に見直すこととしておりますので、引き続き上記の目的等を考慮して調査対象を検討しています。
なお、前回の検討会までに、1~4,6に関する議論は収束しており、その結果については次期中間取りまとめに掲載する予定です。
5については、ICへのRPVからの蒸気の供給がRPV内での事象進展による不確かさの影響を大きく受けるため、現在鋭意検討中であるため、現在お答えできる内容はございません。
7、8につきましては1F事故調査の範囲ではございませんので、現在、お答えできる内容はございません。
ある意味‘予想通りのお役人回答’で、まともな答えはなく、またQ7・8の1号機運転員らへの保安規定・手順書・地震手順書の「保安教育不備」という1F事故の教訓に係る質問も、1F事故調査の範囲外として“門前払い”です。でも、議事録を何度読み返しても、「Q1~4、6」に関する議論は‘全く収束しておらず(言いっ放し)’、その中身も、「調査参加者等の関心」の中心にいる規制庁・安井氏の関心事項(ICタンクA系保有水の減少問題=今後のIC改良に活用?)のみで、3.11事故の真相解明に繋がる“まともな議論”はほとんどなされていません。とりあえず、「中間とりまとめ」を待つしかないようです。 <2025.6.20記>
…と「回答批判」を書き終えたところ、6.27の第51回検討会で「中間取りまとめ(2025年版)」(案)<資料3-1~3-3>が提出されました。それを見て、上記「追記1」のICの系統区分説明・「東電原図」の“間違い”が判明しましたが、「中間取りまとめ」本体の検討は、今後行ないたいと思います。 <2025.7.4追記>