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-『福島原発事故分析検討会』の「非常用復水器に関する分析」について その3-☆ 未解明課題(ICによる事故回避可能性)の定量的検証 ☆
(冒頭のみ 全文は上記pdfをご覧下さい)
-『福島原発事故分析検討会』の「非常用復水器に関する分析」について その3-
☆ 未解明課題(ICによる事故回避可能性)の定量的検証 ☆
福島第一原発1号機の非常用復水器ICをめぐる問題について、昨年、タイミングよく規制委「検討会」が検証を開始したこともあり(2024.7.22:47回、11.14:48回、2025.1.31:49回)、筆者も『鳴り砂№312』から検証を再開しました。
その主な論点は、実は、事故1年後の2012.2.26(3.4追記)『福島原発事故の操作・対応の問題点(中間整理)』で取り上げたものです【風の会HP参照】。ちなみに、同論考作成時には、東電「2011.12.2中間報告」、政府事故調「2011.12.26中間報告」、保安院・意見聴取会「2012.2.16中間取りまとめ」など、限られた資料しかありませんでしたが、現時点でも大きく修正が必要な点はないと思われます(あればご指摘下さい。東電と違って、誤りはすぐ正します!)。また、同論考で取り上げた問題のうち‘地震後から津波襲来前後の運転操作’については、その後に事故調報告や手順書を含む多くの資料が公表されたことを受け、2018.3.11『事故初期の運転操作・事故対応の検証』にまとめました。それを土台に最新情報を加えたものが、昨年来の原稿です。
14年目を迎えた福島原発事故には、多くの裁判で争点化されている「津波の予見可能性」(3.5東電旧経営陣刑事裁判・最高裁判決でも棄却)以外にも、IC自動起動(予見可能)後の運転操作(結果回避可能)に係る“未解明課題”が存在しています。それを解決することで、東電の(原賠法上の無過失責任に留まらない)「重過失責任」や2022.6.17最高裁判決で認められなかった「国の責任」を明らかにしたいと思います。
◆ 「保安規定」に従ったIC2系統作動継続で、事故は防げた! ◆
『鳴り砂№312』で述べたとおり、47回検討会で、事故後初めてICの「タンクの諸元」<資料2-2:1頁>が東電から公開され、具体的な数値と意味が明確になりました。そこで、筆者積年の“未解明課題”である「14:52に自動起動したIC2系統が手動停止されずにそのまま継続作動し冷却を続けていたら、津波後の‘1号機早期炉心溶融・水素爆発’や‘2・3号機の炉心溶融・水素爆発の連鎖’は防げた!」という“仮説”について、“素人”なりの定量的検証を行なってみたいと思います。
そして、東電が未だに撤回しない‘「温度降下率遵守」によるIC手動停止<*>’は、そもそも保安規定第77条3項‘スクラム時には遵守不要’規定や、地震手順書で最優先とされた‘原子炉冷却確保’に反する不適切な操作で、それがなければ、津波襲来後でも炉心損傷は防止可能(保安規定・手順書で「予見可能(想定済み)」で「結果回避可能(対応可能)」)だったことを明らかにします。<*東電はIC操作検証に不可欠な「設備別操作手順書」(自動起動時の対応手順)を公開すべきです!>
(続く)