-最近の気になる動き 94-早々と東北電力は毒ガス対策申請

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-最近の気になる動き 94-早々と東北電力は毒ガス対策申請

東北電力は、昨年(2021年)11月5日にマスコミ・市民向けホームページ文書(最終報告)および「安全協定」に基づく自治体向け文書(協定文書)を提出したことで、昨年7.12硫化水素労災事故が“一件落着”したと考えたのか、12月16日、実に早々と「女川原子力発電所2号機における「原子炉設置変更許可申請書」を原子力規制委員会に提出」しました(同日付け「お知らせ」)。概要は「有毒ガス防護に係る「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」等の一部改正(2017年5月1日)を踏まえ、女川原子力発電所2号機の中央制御室等の安全施設に係る設計方針について、有毒ガス防護に係る記載を追加するとともに、予期せず有毒ガスが発生した場合の手順・体制を新たに整備するもの。」とのこと(同文書および「別紙」:下線筆者)。
その申請内容<https://www.nsr.go.jp/disclosure/law_new/RTS/300001074.html>は、他の先行原発(例えば柏崎刈羽6・7号機など)とほぼ同じで、7.12事故を踏まえた新規・追加内容は見当たりませんでした。これは、同事故前から作成していたものを<規制委には既に2018.5.10や2019.2.19に説明資料提出済み>、女川2再稼動スケジュールを睨み、他の原発と同内容(コピペ)のため簡単に合格すると考え、同事故の“ほとぼりが冷めた”頃合いをも見計らって提出したものと推察されます(*このことは2021.11.24と12.10に補正書を提出したばかりの『工事計画』が、早々と同12.23に認可されたことからも、書面完成・提出前に実質的な審査が終了していることは明らか。また、工事計画認可から5年後が設置期限となる「特定重大事故等対処施設(特重施設)」についても、「基本設計をほぼ終えており、速やかに設置申請する方針」<12.24河北>とのことで、申請書提出はアリバイ作りのようなもの)。
驚くべきことに東北電力は、申請に当たって、7.12事故で作業員7名を被災させた(死亡事故にもなりかねなかった)にも関わらず、その原因となった「硫化水素は規制の範囲外」との“誤った”見解を示しているようですが<12.17河北>、仮にも同事故の原因を「硫化水素のスラッジ内大量蓄積・大量放出」(*筆者は、東北電力・電中研の主張する「蓄積・放出メカニズム」は完全な誤り(フェイク)だと確信!していますが)と言い張るのなら<11.5最終報告・協定文書>、最低限、「毒ガスガイド」の想定する「有毒ガス・固定源」の‘不備・抜け落ちを補う=より一層原発の安全性を向上させる’ものとして、制御建屋出入口を通る運転員らに危害を及ぼす「硫化水素」と、それを大量蓄積し今後も蓄積・放出の可能性を有する「ランドリ系沈降分離槽(貯蔵タンク)」を、“新たに=独自に”調査対象として加えるべきことは明らかです(調査・評価の結果、最終的に運転員らに影響を及ぼさないという結論に至るかもしれませんが、それとは別問題)。なぜなら、同タンクの「1・2号機間共用」を継続・放置し、2号機制御建屋に接続配管が通じている限り、隔離弁の不調・不作動・突然開や空気注入ポンプの作業予定外の誤作動・流量急増などによる硫化水素の流入・逆流の可能性はゼロではないからです<起きる可能性があることは起こる!>。
東北電力は、「毒ガスガイド」の不十分性・抜け落ちにつけこみ、最新知見に基づく安全性の確保・向上に対する規制委の消極姿勢をも見越して、他の原発で審査合格した内容に準じたコピペ申請を行ないさえすれば、簡単に審査を通る(前出の二度の資料提出により規制委審査は実質的にほぼ終了?)と考えているのかもしれません。とはいえ、最近出された2021.6.16規制委「審査ガイドの位置付け」によれば、そもそも各種「審査ガイド」は「許認可の審査において、審査官が参照するために策定する文書であり、審査官が新規制基準への適合性を確認する方法の例を示した手引」で、「規則や規則の解釈のように規制要求を示すものではない」とされ、「審査に当たっては、審査ガイドの内容に囚われることなく、審査官自らの科学的、技術的、合理的な判断に基づくことが重要」(下線筆者)とされていることに鑑みれば、7.12事故を踏まえて有毒ガス防護に対する認識・判断基準を新たにしたかもしれない規制委・審査官を、東北電力はあまり‘甘く見ない’方がいいのではないでしょうか。
7.12事故で毒ガスガイドの不十分性・抜け落ちを認識・指摘できるはずの東北電力だからこそ、‘原発のより一層の安全性向上’のために、「ランドリ系沈降分離槽」(に限らず、硫化水素を生物学的に発生させる可能性のある海水系設備も含めたすべての設備)を“独自に・主体的に”考慮・評価した申請を、改めて行なうべきだと思います。それが嫌なら、ランドリドレン処理系「共用」を廃止し(接続配管を完全封鎖・撤去し)、2号機単独で沈降分離槽なし(ランドリ廃液は直ちに蒸発乾固?)の処理設備を設置するしかありません。
 <2021.12.27記 仙台原子力問題研究グループI>