―最近の気になる動き 85´´―≪追々記:村井知事らの“トランプ流?弁明”≫

―最近の気になる動き 85´´―
≪追々記:村井知事らの“トランプ流?弁明”≫
2020.11.11、村井宮城県知事・須田女川町長・亀山石巻市長の三者協議(非公開30分間:石巻合同庁舎)で、立地自治体として女川2再稼働に正式同意を表明。
時あたかもアメリカ大統領選挙でトランプ氏が‘証拠も提示せず’に不正選挙との主張・訴訟を繰り返しているようですが、村井知事が三者協議後に公表した「事前に用意していた文書」<11.12朝日:最初から結論ありきの文書だったようです>も、それと同レベルの愚劣なものに思えました。
『知事・女川町長・石巻市長 三者合同コメント』の「必要性」の説明(弁明)では、「原子力発電所の稼働停止を受け、化石燃料由来の火力発電所への依存度が増しております」として「原油の輸入地域の情勢不安定化に伴う価格高騰による電気料金の変動や、気候変動の要因となる二酸化炭素排出量の増加などが懸念されています」と、“証拠も提示せず”に必要性を主張しています。「原発稼働停止」でも「電力供給に支障がない」事実に触れたくない(触れられたくない)ことから、「電気料金の変動懸念」を持出し、この間の再生可能エネルギーの電力(安定)供給への貢献には言及せず、火力依存のみを強調することで「原油輸入・二酸化炭素排出」などの政府説明の丸写し文言を盛り込んでいるようです。原発の最大のライバル(代替策)となり得る再生可能エネに対しては、「急速な導入拡大が期待できる状況ではありません」と“証拠も提示せず”に無視していますが、このコロナ禍でオンライン授業・リモート会議・テレワーク・認め印廃止その他、社会構造・産業構造などが時代の趨勢に合わせて「急速」に変化し得ることが実証されている状況にもかかわらず、「政府では…再稼働させる必要があるとしています」と旧態依然の“お上頼み?”の姿勢を披露しています。

そして、女川再稼働は「様々な業務の地元企業の受注に伴う雇用の創出や経済波及効果が見込まれるほか、立地自治体に対しては、運転開始に伴い、設備投資による固定資産税や、核燃料税等の収入増も期待され、地域経済の発展に対しても、大きく寄与する」と、“証拠も提示せず”に述べています。しかしながら、『本稿・追記』でも指摘したように、9年以上も継続されてきた各種安全対策工事という莫大な「雇用の創出や経済波及効果」を凌ぐような業務受注など、極端に言えば「当直7名」(5~6班で交替)で発電ができる通常運転時(再稼働時)にはあり得ません(13ヶ月運転後の4~5?ヶ月の定検工事(約1年おき)が主たる需要源でしかありません)。
また、現在の(建設済みの)原発からの固定資産税は(減価償却で)年々減少する一方ですから、安全対策工事で新増設された防潮堤その他の巨大設備(新たな固定資産)への課税(福島原発事故を踏み石にした“タナボタ的おこぼれ”)を待ち望んでいるようです(再稼働しないと課税対象にできないため)が、それは女川町・石巻市に入るだけで、地元企業には直接還元されません。
核燃料税も、宮城県の場合は再稼働しないと課税できませんが、基本的には宮城県の原子力行政に使用するためのもので、地元企業とは無関係です。村井知事としては、福島原発事故を受けて拡充した放射能・放射線のモニタリング設備、3.11津波で壊滅した原子力センターの再建・資機材再調達、避難計画策定など、膨大な“先行投資”が負担になっており、それを回収するには‘是が非でも再稼働してもらわなければ困る’ということかもしれませんが、そのような核燃料税収支の悪化(破綻?)という“証拠(現状)を示さずに”(正しくは”隠して“!)再稼働の是非を論ずるのは不誠実です。
そのような(地元経済とは直接無関係の)「固定資産税」や「核燃料税」の課税は、確かに‘再稼働が必要条件’のため、「三者協議」で同意するのは当然かもしれませんが、裏を返せば、女川町・石巻市は、現在の「安全対策工事」を東北電力に‘途中で中止・放棄されないよう’再稼働に同意し、今後もより一層の経費が掛かる「特定重大事故等対処施設」の建設を(最後まで)行なわせ(その後の稼働実績はどうでもいい?)、固定資産税の大幅増収を図ろうとしているのかもしれません。そうだとすれば、極めて“したたか”ですが、果たしてそのような思惑通りに進むでしょうか。
<2020.11.15記:仙台原子力問題研究グループI>