-最近の気になる動き93の5- ≪追々記:硫化水素労災事故に係る労基署「指導票」≫

-最近の気になる動き93の5-
≪追々記:硫化水素労災事故に係る労基署「指導票」≫

-最近の気になる動き93の5-
≪追々記:硫化水素労災事故に係る労基署「指導票」≫

 7.12硫化水素労災事故について、東北電力は、10.12「2021年9月分定期報告・別紙」で、「10月7日には、同署より本事象に係る指導票を受領」し、1「空気攪拌作業の実施にあたっては、2号機制御建屋につながる配管の隔離措置や酸欠作業に準じた措置を講じるとともに、作業手順書にもこれらの硫化水素漏えい防止対策の内容を盛り込むこと」、2「当該タンク内に蓄積している廃スラッジの排出処理が定期的に行われるよう、処理計画の策定等、必要な措置を講じること」、3「緊急・異常事態が発生した場合の連絡ルートや方法について必要に応じて見直したうえで、協力企業の従業員へ再周知すること」、4「当該タンク以外に、硫化水素が発生する可能性のある設備の有無を調査し、該当する設備がある場合は同様の対策を講じること」の主に4項目の指導を受けたことを明らかにし、「引き続き、硫化水素低減対策を実施していくとともに、詳細な原因分析を行ってまいります。また、労働基準監督署からの指導内容を踏まえながら、再発防止対策の策定を進めてまいります」としています。
 ここで、ネット情報<弁護士 西村裕一:福岡県弁護士会>「弁護士による労働相談 https://www.fukuoka-roumu.jp/qa/roukisyo/qa5_15/ 」によれば、「指導票とは、…労働法令に違反する事実は確認できないものの、改善することが望ましい事項について作成される書面」で、「指導票についても、指摘された事項の改善状況について、報告をしなければなりません」とのこと。そのため東北電力は、「報告期限の1カ月以内に再発防止策を取りまとめる」<2021.10.13河北>予定のようです。
 ですから、当面は指導票に対する11月7日頃の報告書を待ちたいと思いますが、注意すべきは、同報告はあくまでも‘労災再発防止のための改善事項’に対するものでしかないことで、同報告をもって単なる労災事故として今回の事故を“幕引き”しようとする東北電力の策略を許してはなりません。確かに、指導内容の第1項は「ランドリドレン処理系共用問題」に関わり、第2・4項は「毒ガスガイド(調査対象有毒ガスおよび固定源=硫化水素の発生源)」に関わりますので、同報告の内容を十分に検証する必要は当然ありますが、私たちが問題とする‘原発(女川2のみならず全国の原発)の安全対策・テロ対策’の観点から、今回の作業手順の問題や空気注入装置・換気空調系の故障の有無や1号機制御建屋へ逆流しなかった理由なども含め、(同報告後も)東北電力に対し“真相究明”を求める必要があると思います。
 <2021.10.15記 仙台原子力問題研究グループI>