10月25日、市民が東北電力に対して9月30日に提出した、「女川原発に関わる広報の誤りの訂正と、乾式貯蔵施設の設置計画に関する住民説明会の開催を求める要請書」、および「女川原発に関する広報「より、そう、ちから」に関する質問書」に対する回答交渉を行いました。
以下、東北電力の回答と質疑の記録です
【要請・質問と回答部分のみ抜粋】
東北電力社長 樋口康二郎様
女川原発に関わる広報の誤りの訂正と、乾式貯蔵施設の設置計画に関する住民説明会の開催を求める要請書
2024年9月30日
女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション(代表 鈴木宏一)
原発問題住民運動宮城県連絡センター(共同代表 斎藤信一 小林立雄)
貴社は9月13日、宮城県内の新聞各紙に女川原子力発電所に関する広報「より、そう、ちから」を折り込みました。その第4面に、誤りとゴマカシがあるのではないかと思われました。
使用済燃料について、発電所の使用済燃料プールや今回設置予定の乾式貯蔵施設で安全に管理していくとともに、「再処理事業者に搬出し、再処理(リサイクル)を行うこととしています」と説明していますが、「搬出」も、「再処理」も、見通しがありません。
再処理事業者は日本原燃だけで、再処理施設は六ケ所村で建設が進められているものだけです。その日本原燃は8月、またも再処理施設の完工延期を発表しました。8月26日の審査会合で日本原燃は、ようやく全体計画を原子力規制委員会に報告しましたが、申請書が約6万ページもあり、その内容すべてを説明するだけで来年11月までかかります。なので、次の完工期限である2026年には、28回目の完工延期を発表することが確実視されています。完工しないまま老朽化が進んでいるうえに、アクティブテストにより強い放射能で汚染した箇所には手をつけることが困難なので、再処理施設が完成する見通しはありません。
再処理施設が完成したとしても、原子力委員会が2018年7月31日、再処理の認可を「プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ」に限定しました。大半の使用済み核燃料は、もう再処理されません。したがって、再処理事業者に搬出されることもありません。
貴社は広報で、乾式貯蔵施設を使用済燃料の「一時的」保管施設と書きましたが、これはゴマカシです。本当に一時的保管なら、保管期間と使用済燃料の搬出先を明示すべきです。
この誤りとゴマカシを放置すれば、使用済燃料が全量再処理されるという誤解を広げて、使用済燃料の超長期間保管問題への対応を遅らせてしまい、重大な社会的損失を招くと考えます。
そこで、何らかの訂正措置を講じるよう、求めるものです。
住民運動は、乾式貯蔵施設の設置計画に関する住民説明会の開催を求めてきました。宮城県、女川町、石巻市が、貴社の事前了解の申し入れに回答するにあたって、住民の疑問や不安に応える説明会の開催が必要であり不可欠です。
RFS社(リサイクル燃料貯蔵株式会社)は、使用済燃料の中間貯蔵施設に関して、青森県の各地で何度も説明会を開催しました。貴社が説明会を開催できないという理由はないと思われます。
広報を大量に配布して、「十分に周知した」という形だけをつくっても、デタラメのある一方的なプロパガンダは社会に有害であり、貴社の企業価値をも損なうものではないでしょうか。
そこで、あらためて、住民説明会の開催を求めるものです。
以上、2点を要請いたします。2週間以内にご回答いただきますよう、お願いいたします。
以上
【電力回答】前段部分の使用済み燃料の件についてのご回答になります。「再処理施設が完成したとしても、原子力委員会が2018年7月31日、再処理の認可をプルサーマルの着実な実施に必要な量だけに限定しました。大半の使用済み核燃料はもう再処理されません。したがって再処理事業者に搬出されることもありません」と記載がありますが、本来の文書には「再処理等の計画の認可(再処理等拠出金法)に当たっては六ヶ所再処理工場、MOX燃料加工工場およびプルサーマルの稼働状況に応じてプルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう認可を行う」とあり、前提部分を除いて切り取った内容に基づく主張は当てはまりません。よって大半の使用済み核燃料はもう再処理されないということにはなりません。また、当社は女川原子力発電所3号機においてもプルサーマルを行うことを表明しております。
原子燃料サイクルについてですが、資源の少ない日本では使用済み燃料の中からウランやプルトニウムといった燃料として再利用可能な物質を取り出し、再処理ですが、この取り出した物質を混ぜ合せてMOX燃料に加工して原子力発電に利用する取り組みを行っております。これら取り組みは、エネルギーに関する政策の工程を示したエネルギー基本計画において、この原子燃料サイクルの推進を基本的方針と位置づけられております。
続いて、六ヶ所再処理工場の竣工について、当社としては資源に乏しい我が国のエネルギー事情を踏まえると、原子力発電は今後も重要なベースロード電源として活用していく必要があり、原子燃料サイクルはウラン資源の有効活用、高レベル放射性廃棄物の減量、有害度低減等の観点から極めて重要であると考えています。当社としては、今後も業界一丸となって日本原燃の六ヶ所再処理工場の竣工に向けて全面的に支援していきます。
続いて、女川原子力発電所の使用済み核燃料についてでございますが、女川原子力発電所の使用済み燃料は、発電所の使用済み燃料プールおよび今回設置予定の使用済み燃料乾式貯蔵施設で安全に管理していくとともに、再処理事業者に搬出し再処理を行うこととしており、これまでの女川1号機ならびに2号機の使用済み燃料については、国内の再処理事業者に搬出し再処理を行っております。使用済み燃料の再処理事業者への引き渡しについて現時点で具体的な計画は決まっていませんが、今後の状況等を踏まえて対処していきます。
【電力回答】続いて、要請書の後半の部分でございます。乾式貯蔵施設に関する住民説明会の開催についてでございます。使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置においては、地域の皆様からご理解をいただけるよう分りやすく丁寧な情報発信に努めていきたいと考えております。主な取り組みとしては定期的に発行している「発電所だより」や「東北電力のおしらせ」で情報発信するとともに、年2回実施している「こんにちは訪問」においてチラシなどを用い面談での理解活動に努めていくこととしております。当社としては、これら取り組みを継続的に実施して行きたいと考えており、住民説明会の開催については予定しておりません。
東北電力社長 樋口康二郎様
女川原発に関する広報「より、そう、ちから」に関する質問書
2024年9月30日
女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション(代表 鈴木宏一)
原発問題住民運動宮城県連絡センター(共同代表 斎藤信一 小林立雄)
貴社が9月13日の新聞各紙に折り込んだ女川原子力発電所に関する広報「より、そう、ちから」に掲載された記事に関連して、大綱3点について、お伺いしたいことがありますので、ご説明をお願いいたします。
大綱1:プルトニウム利用および女川原子力発電所3号機について
貴社は9月発行の広報「より、そう、ちから」で、使用済燃料について「再処理事業者に搬出し、再処理(リサイクル)を行う」と説明しました。
1.プルサーマル運転及びプルトニウム利用について
わが国の原子力利用は、原発の使用済み核燃料を「全量再処理」する方針でした。しかし高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決定したため、原子力委員会は2018年7月31日に「全量再処理」の方針を変更し、再処理の認可を「プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ」に限定しました。
そこで、これまでに御社が再処理した核燃料、保有しているプルサーマル燃料、今後のプルサーマル運転で利用するプルサーマル燃料をどのように見込んでいるか、ご説明ください。
また、所有しているプルトニウムの量、その資産評価について、教えてください。
【電力回答】東北電力のプルサーマル計画についてでございますが、当社では女川3号機でプルサーマルを導入することとしていますが、同機については、女川2号機の適合性審査で得られた知見・評価等を踏まえ、新規制基準適合性審査の申請に向けた検討を行っているところであり、現時点で具体的な再稼働時期を申し上げられる段階にありません。そのため当社のプルトニウム計画においては、2024年度から2026年度の利用量について、プルトニウム利用計画、こちらは2024年2月26日電気事業連合会で出しているものですが、そちらでは昨年同様、-(横棒)、プルサーマル実施できる状態でないということで表しております。
続いて、所有しているプルトニウムの量と資産評価についてでございますが、保有している全プルトニウム量は、2024年4月1日時点で約743㎏を保有しています。国内で約115㎏、海外で約628㎏でございます。なお、資産評価につきましては契約に関わるため回答は差し控えさせていただきます。
2.女川原子力発電所3号機について
貴社がプルサーマル運転の許可を得ているのは女川原発3号機だけですが、2号機よりも新しいにもかかわらず、未申請のままであることは不自然です。
女川原発の格納容器の設計に㈱東芝の技術者として参画した渡辺敦雄氏は、3号機の再稼働が不可能になっているのではないかと見ており、その理由として「浜岡原発5号機のように、原子炉一次系(原子炉冷却材圧力バウンダリおよび復水器や給水系に接続している配管や機器、以下原子炉一次系と略記)に海水が侵入して健全性を失っていることが考えられる」としています。渡辺敦雄氏の指摘の当否について、ご説明ください。
広報「より、そう、ちから」の第2ページに、東日本大震災で「原子炉建屋や事務棟の設備に大きな損傷は発生しませんでした」とありますが、原子炉本体および原子炉一次系については、どうなのでしょうか。「3号機は、東日本大震災で大きな損傷を受け、再稼働が不可能になっているのではないか」という声が絶えません。3号機は再稼働可能なのでしょうか、ご説明ください。
女川原発3号機で発電する電気は東京電力に売電する契約があり、停止している期間も東京電力から支払いがあると説明されたことがあります。2011年以降の各年度の支払いの実績、今後の支払い金額について、ご説明ください。
【電力回答】まず、女川3号機に関する渡辺敦雄氏のご指摘についてでございますが、東日本大震災における女川3号機の設備被害において、原子炉一次系への海水侵入は確認されておりません。なお、震災時の設備被害の状況については、弊社のHPで公表いたしております。
次に、女川3号機の再稼働見通しと東京電力からの支払についてでございます。女川3号機については、女川2号機の原子炉設置変更認可や工事計画認可に係る適合性審査で得られた知見、評価等を踏まえ、安全対策設備の配置計画検討等を実施する必要があることから、現時点では申請時期について具体的に申し上げられる状況にないが、申請に向けてしっかりと対応して参りたいと考えております。なお、女川3号機に係る東京電力からの各年度の支払実績、今後の支払金額については、個別の契約に関わる事項のため回答は差し控えさせていただきます。
大綱2:フィルターベントの有効性について
広報「より、そう、ちから」の第3ページに、フィルタ付格納容器ベント装置の設置により、「セシウム等の粒子状の放射性物質の放出量を1000分の1以下に抑制します」「大規模な土壌汚染や、長期的な避難が発生することはないと考えています」という説明が掲載されています。
貴社は、適合性審査において、フィルタ付ベント装置が目詰まりなどを起こして機能しないかもしれないという不安を口にして、耐圧強化ベント(フィルターがない、直接のガス放出)を、ラストリゾート(最後の手段)として温存する考えを表明していました。
審査会合が実質的に終了した後になってから、耐圧強化ベントにより放出される放射能が規制基準を上回る360TBになることがわかり、貴社は「炉心損傷後は耐圧強化ベントを使用しない」ことを約束、2号機はかろうじて「合格」しました。
その後、テロ対策等の「特定重大事故等対処施設」を具体化した際に、貴社は特重施設の一環として、もう一組のフィルター付ベント装置を設置することとし、このバックアップのフィルター付ベント装置が設置されたら、「耐圧強化ベント装置は廃止する」という考えが示されました。
1.フィルターベントの有効性について
宮城県が設置した「女川原子力発電所2号機の安全性に関する検討会」で、専門家からフィルター付ベントは「国内で実績がない」という指摘があり、フィルターの目詰まりなどを心配する別の専門家から、再稼働の前に「テストをやってほしい」という要望がありました。テストは行われたのでしょうか。
バックアップのフィルター付ベント装置が設置されたら「耐圧強化ベント装置は廃止する」という表明についてですが、廃止とは関連する機器類を撤去するということでしょうか、具体的な措置をご説明ください。
そもそも原発の安全性とは、「原発内の機器の健全性の維持」ではなく、「地域住民が被ばくをしない」ことです。IAEA(国際原子力機関)の「深層防護」の第5層に「住民避難」が明記されているのも住民の被ばくを防ぐためで、これには貴社も異議はないと考えます。しかしながら、「フィルターベント」は、炉心溶融事故後に原子炉格納容器や建屋の損壊を防ぐためだとして、なんと放射能を外気環境に放出し、あろうことか「住民を被ばくさせる装置」です。放射能を閉じ込めるという格納容器思想を否定するシステムではないでしょうか。この点に関して、貴社のお考えをお聞かせください。また、放出される放射能の評価が極めて重要ですが、どのようにして100TB以下になると評価したのでしょうか、ご説明をお願いいたします。
【電力回答】フィルター付格納容器ベントの再稼働前の動作確認についてでございますが、重大事故等対処設備は使用前事業者検査を実施し、機能を満足していることを確認しております。これは、2024年6月です。また、国による使用前確認により当社が実施した使用前事業者検査が適切に行われ終了していることを確認頂いております。なお、運用開始後も定期的に要求機能が維持されていることを事業者検査や試験を行い、常に健全性の確認を行ってまいります。
耐圧強化ベント系の廃止についてでございますが、耐圧強化ベント系は、原子炉格納容器の加圧損傷防止機能を有する特定重大事故等対処施設の設置に合せて廃止し、関連する機器類を撤去予定でございます。
続きまして、フィルター付格納容器ベントの評価についてでございますが、福島第一事故ではセシウム137の総放出量が約1万テラベクレル、これは1号機から4号機でございますが、とされており、その結果大規模な土壌汚染が発生し、長期的な避難が必要になりました。これを踏まえ、新規制基準の審査ガイドには東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証を通じて得られた教訓が反映され、炉心に著しい損傷が発生した場合でも格納容器内の圧力をフルターを通して大気に逃がす際には、福島第一事故の100分の1に当たるセシウム137の放出量100テラベクレル以下にして、環境への影響をできるだけ小さく止めるという判断基準が示されたところから、当社はフィルター付格納容器ベントを設置することとしております。なお、女川原子力発電所2号機の新規制基準適合性審査において、炉心の著しい損傷が発生した場合には、フィルター付格納容器ベントを実施することでセシウム137の放出量を1.4テラベクレル、福島第一事故の約7000分の1と評価しており、判断基準である100テラベクレルを大幅に下回ることから、長期的な避難にいたるような大規模な土壌汚染は大幅に軽減できるものと評価しております。
2.「炉心損傷後は耐圧強化ベントを使用しない」という約束について
「特定重大事故等対処施設」の一環としての、もう一組のフィルター付ベント装置は、もう設置が終了したのでしょうか。
ベントは、重大事故発生後に格納容器の損壊を防ぐ最後の手段になっています。
女川原発2号機を再稼働させて、重大事故が発生して炉心溶融にいたり、操作したフィルター付ベント装置が機能しなかった場合ですが。「約束」を破って耐圧強化ベントを開けば、(基準を超える360TBqの放射能が放出されますが)、格納容器の損壊を防ぐことはできます。「約束」を守って、耐圧強化ベントを使用しなければ、格納容器が損壊する可能性が大きく、その場合は東日本が壊滅するような大量の放射能が放出されるでしょう。
「炉心損傷後は耐圧強化ベントを使用しない」という「約束」は、守ることも、破ることもできないのではないでしょうか。
このような「あてにならない約束」をしなければ「合格」できなかった女川原発2号機は、本来なら不合格であり、再稼動すべきではないと考えるのですが、貴社の考えをご説明ください。
【電力回答】特重施設の一環で設置されるフィルター付ベント装置の設置工事ですが、特定重大事故等対処施設の設置期限である2026年12月に向けて今後工事を進めて参ります。工事の詳細については、特重施設がテロ対策施設であるとの回答を伝えさせていただきます。
炉心損傷後にフィルター付ベントが使えない場合、耐圧強化ベントを使用しないとの約束は守れるのかということにつきましては、耐圧強化ベント系は炉心損傷発生前において、採用手段の多様化を図る観点から確保しているものであり、炉心損傷後に使用するものではありません。
操作したフィルター付ベント装置が機能しなかった場合に対してでございますが、フィルター付格納容器ベント装置は動力を必要とせず、隔離弁の開操作のみで作動させることができるため信頼性が高い設備であります。ベントで使用する隔離弁は多重化されており、また、隔離弁の操作についても電動による遠隔操作と人力による操作の多様性を高めた設計としており、炉心損傷した場合でも作動させることはできるようにしております。
大綱3:防潮堤について
広報「より、そう、ちから」の第2ページに、大きな写真付きで「国内最高レベル」と防潮堤の説明が掲載されました。以下の各項目について、ご教示ください。
1.防潮堤の構造形式について
この防潮堤は、鋼管式鉛直壁(=自立式鋼管)です。壁高が低い場合、自立式はフーチングが不要なので、経済性で有利ですが、それは壁高が5m程度以下の場合です。女川原発では、原発敷地高がO.P.+13.8m、防潮堤天端高はO.P.+29.0m、原発敷地からの防潮堤高さは15.2mで、土木の常識として、自立式構造を採用することはあり得ないのではないでしょうか。
自立式構造を採用した結果、山側(原発側)では地盤改良が、海側では置換コンクリートを施工しています。置換コンクリート、および地盤改良の数量をふまえると、杭基礎の擁壁型の方が、はるかに安価だったのではないでしょうか。
なぜ、自立式構造を採用したのか、その理由をお示しください。また、採用に当たっては、他の構造形式との比較検討を行っていると思いますが、その検討結果をお示しください。
【電力回答】防潮堤を設置する場所における施設等の配置状況や地表面から岩盤までの深度等を踏まえて構造を検討し、地表面から鋼管杭を打ち込んで上部工を構築する現在の構造、鋼管式鉛直壁を採用しております。また、防潮堤北側の区間では、港湾側へ通行するための道路も設置することも考慮して大断面の盛り土堤防を採用しております。防潮堤の構造選定の考え方については、女川原子力発電所2号機の新規制基準に対する原子炉設置変更許可や工事計画認可の審査の中で説明し、ご理解を頂いております。
2.防潮堤の設計水位について
御社のホームページには、浸水防止壁の設置理由について、「万一、津波が海抜29mの防潮堤を超え、海水が敷地内に流入した場合でも非常用海水ポンプの機能が喪失しないように浸水防止壁を設置しました」という説明があります(※)。
※https://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/onagawa_safety/index.html
一方、防潮堤の想定津波高は25.0mとの回答を得ています。防潮堤を超過することを想定しているならば、津波高はO.P.+29.0mを超過することになります。この津波高を29.0m+αとします。この29.0m+αの水位に対して、防潮堤の安全性を検討しているでしょうか、検討した内容を教えてください。
また、非常用海水ポンプが機能を喪失することがないように防潮壁と浸水防止壁を設置していますが、その高さを5mで十分だとした理由について、ご説明ください。
【電力回答】防潮堤については設計津波高さとしてO.P.+25.0mの水位を考慮した設計を行っております。また、津波PRA評価を踏まえてO.P.+33.9mの水位に対しても防潮堤の機能が維持できることを確認しております。
防潮壁については、津波により取水路等から湧き上がる海水が敷地内に流入することを防止するために設置しているもので、設置場所毎に津波水位の評価を行った上で防潮壁の高さを設計しております。浸水防止壁については、津波PRA評価において津波が防潮堤を越えた場合においても非常用排水ポンプの機能を消失させないために設置しているもので、津波PRA評価結果を踏まえて浸水防止壁の高さを設計しております。これらの評価については、女川原子力発電所2号機の新規制基準に対する原子炉設置変更許可や工事計画認可の審査の中で説明し、ご理解を頂いております。
3.取水路・排水路について
防潮堤設置に伴い、取水路や排水路の荷重条件が変わると思います。その荷重条件の変更におもない、取水路・排水路の構造照査は実施しましたでしょうか。行っているならば、その計算ケースおよび照査結果をお示しください。
【電力回答】防潮堤設置にあたっては、下部の構造物、取水路・放水路・屋外排水路の影響も合せて検討しており、女川原子力発電所2号機の新規制基準に対する原子炉設置変更許可や工事計画認可の審査の中で説明し、ご理解を頂いております。
4.腐食対策について
防潮堤は海岸構造物なので、毎年、錆の影響で劣化すると承知しています。どのような腐食対策を講じているか、ご説明ください。
【電力回答】防潮堤の腐食対策についてでございますが、防潮堤の鋼管式鉛直壁については塗装による腐食対策を行っております。なお、鋼管式鉛直壁の設計においては保守的に腐食シロを考慮しており、女川原子力発電所2号機の新規制基準に対する原子炉設置変更許可や工事計画認可の審査の中で説明し、ご理解を頂いております。
ご回答は以上でございます。