△追記:「敦賀1」でも設置許可無視のGE施工・不整合放置△

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△追記:「敦賀1」でも設置許可無視のGE施工・不整合放置△

(以下はテキストのみ 上記pdfに図がありますので、そちらをご覧下さい)

前稿「配管接続の無断変更3件」のあった福島第一1号機(F1-1)と比較するため、同じくBWR3で非常用復水器ICのある「敦賀1」について調べました。

◆「IC」は(設置許可どおり)別々の再循環系に接続!
敦賀1には再循環系が3系統あり(F1-1は2系統)、設置許可申請書(S40.10最初)では、F1-1同様、IC2系統のドレン管は‘他の再循環水ラインへ’と2系統が別々に接続されることが示され【図7<添付書類5・第6.1-1図>の下の赤丸囲み】、IC系統図<添付書類5・第6.4-1図>でも同様に図示されています。
そして、敦賀1では(F1-1と違い)ICドレン管は“設置許可どおり施工”され、再循環B・C系に別々に接続されています【図8<H21.12.4福井県原子力安全対策課・第32回定期検査に関する記者発表の図2>の右上赤囲み】。
他方、余談ですが、申請書では「発電所通常運転中は、ドレン管2個の弁は閉鎖され、供給管の2個の弁は開放されており」<添付書類5・5-44頁>と記載され、その通りの弁の開閉が【図7の上の赤点線丸囲み】やIC系統図(第6.4-1図)にも図示されていました。そこで、原子力資料情報室・上澤千尋さんにお願いして敦賀1の膨大な変更申請書類ファイルをお送りいただき(感謝!)、一通り調べたところ、<S41.10.31変更申請>でIC弁開閉の図(第6.1-1図)は“コッソリ”訂正されていました。ただし、上記添付書類の記載は訂正されず、「…ドレン管の2個のうち1個の弁は閉鎖され、ほかの1個の弁及び供給管の2個の弁は開放」と訂正されたのは、<H5.6.22変更申請:8(1)-6-6頁>でした。これは前稿末尾記載のH3.12資エネ庁「不整合解消の指示」を受けた見直しによるものと思われます。

◆「SHC配管」接続は(F1-1と同じく)やはり無断変更!
次に、原子炉停止時冷却系SHCは、設置許可申請【図7の下・右の緑実線囲み】では、①ICドレン管1系統が接続される再循環系から取り出され、②同じ再循環系統に戻る経路が示され、SHC系統図<添付書類5・第6.3-1図>でも、同一の再循環系から①取り出され/②戻るよう図示され、文書でも「再循環回路の1つの原子炉出入口に接続されて、ループを形成している」<添付書類5・5-43頁:下線筆者>と、同一の再循環系へのループが明記されています。また、上記「IC弁開閉の図」の変更がなされた<S41.10.31変更申請>時にSHC接続の変更はなく(第6.1-1図のまま)、上記「IC弁開閉の記載」の変更がなされた<H5.6.22変更申請:8(1)-6-4頁>でも、「…1つの原子炉出入口に接続されて、ループを形成」という記載のままでした。
ところが、【図9<図8と同じH21.12.4記者発表の図1>の赤丸囲み】を見ると、再循環系の配置が「図8」と同じ「左からC、B、A」(図9に筆者加筆)とすれば、①SHC取出配管は「再循環A系吸い込み配管」から分岐し、②SHC戻し配管はIC接続先の「再循環C系吐出配管」に接続されており、明らかに‘同一再循環系でのループ’にはなっていません。また、【図8右上赤囲み】のとおり再循環B・C系にICドレン管が接続されていることから(図9では、スペースの関係で再循環C系にのみIC接続の図)、後述のノズル配置バランスから考え、【図8下側青囲み内の上】のSHC取出水は再循環系「A系」由来と推測されます(付言すれば、【図8下側青囲み内の中央】のとおり、前稿F1-1「図2」左上と同様、やはりSHC取出配管から原子炉冷却材浄化系CUWの取出配管が分岐)。
そこで、最初(S41)からH13.2までの変更申請書を調べましたが、「図9」に示されたSHC配管の“非ループ接続”への変更申請は見当たらず、従って、敦賀1でも(F1-1同様)設置許可内容が施工段階で無断変更されたことは明らかです。
ちなみに、無断変更後のSHC配管の“非ループ接続”の利点は、a:再循環系吸い込み配管ノズル(【図8の右上赤囲み】内参照)を‘各系1個’にでき、b:低温のICドレン水流入が想定される同じ再循環系(BかC)に同じく低温のSHC戻し水を流入させても、当該再循環系・配管の低温水流入による熱応力・熱疲労は“想定済み”(SHCはIC冷却停止後に起動=同時作動なし)だから、と推察されます。そして、前稿のとおり、F1-1でもSHC戻し配管が(SHC水が取り出された再循環A系ではなく)ICが接続された再循環B系に接続されたのも、(前稿記載の“最短コース・経済性”以外に)上記bの理由が主とすれば、“謎”が氷解します。

◆「CUW戻し配管」の給水系接続への無断変更は「法令に抵触」!
次に、原子炉冷却材浄化系CUWは、最初の設置許可申請(S40)では、③SHCと異なる再循環系から取り出され、④浄化後のCUW戻し水は(SHC戻し配管に接続されて)再循環系に戻るよう、図示されています【図7の下・左の緑点線囲み】。一方、CUW系統図<添付書類5・第6.2-1図>では、同一の再循環系から③取り出され/④戻る経路が示され、文章でも「冷却材再循環回路からその循環量の約5%をバイパスし…冷却材再循環回路へ戻す」<申請書本文7-8頁:下線筆者>とか、「再循環回路から抜き出され…再循環回路へ戻される」<添付書類5・5-41頁:同>と記載されています(前稿のとおり、F1-1ではCUW戻し水は再循環系ではなく給水系へ)。
ところが、【図10<図8・9と同じH21.12.4記者発表の図4>の緑丸囲み内】を見ると、③CUW取出水は(図7と異なり)SHCと同じ再循環A系から取り出されている一方(実際には【図8】のとおりSHC取出配管から分岐)、④CUW戻し配管は、申請書本文のとおり「再循環回路に戻す」でもなく(図7のようにSHC戻し配管に接続され再循環回路に戻るのでもなく)、驚くべきことに(F1-1と同じように)「給水系」に接続【図10の緑吹き出し】されていたのです。
そこで、改めて変更申請書類を調べると、変更初回の<S41.10.31変更申請:第6.1-1図>では、最初の申請(S40)の<添付書類5>第6.2-1図および本文等の記載と整合するよう、同一の再循環系から③取り出され/④戻る経路が図示されていました。その後、やはり前出H3.12資エネ庁「不整合解消指示」を受けてと思われますが、<H5.6.22変更申請>で、添付書類の記載は「再循環回路から抜出され…主給水管へ戻される」と変更されていました<8(1)-6-1頁>。ただし、その際、「図10」の原図に相当する「第6.2.1図」は“見落とされた?”ためか、その後の<H5.10.22補正>および<H6.4.15補正>で主給水管へ戻される正しい図に変更され、ようやく“添付書類の図・記載の不整合”は解消されました。
ところが、そのH5-6の3度の変更・補正の際も、その後の変更時も、上記の申請書本文の記載は“見落とされた?”のか、「主給水管へ戻す」との変更は未だなされていません。ちなみに、F1-1のIC配管接続について、保安院は「…当該変更は、設置許可申請書の添付書類の記載であり、許可事項には該当せず、法令に抵触するものではありません」【2012.2.27付指示<前稿【抜粋】の2012.3.12東電回答を要求した文書>の抜粋:下線筆者】と東電を最初から擁護・免責していましたが、敦賀1・CUW戻し配管については“申請書本文の不整合”は解消されていないので、現時点で「法令に抵触する」状況にあることは明らかです。

◆敦賀1でも安全審査・伊方最高裁判決の前提を覆す‘設置許可の軽視’
以上を踏まえ、規制委は、「法令に抵触する」敦賀1・CUW戻し配管の“申請書本文の不整合”を解消させることが必要です。加えて、「…添付書類等の記載内容のうち、その後の変更により実際の設備を反映しないものについては、…実際の設備等を反映するよう指示」【上記2012.2.27指示】したことが今も有効なら、敦賀1のSHCや、前稿記載のF1-1のSHC(*<H23.2設置変更許可申請>においてSHC関連の変更がありましたが、添付書類8「第6.3-1図」は『鳴り砂№316・その5』の「図9」のままで、やはりSHCは同一の再循環系に戻るよう図示されていました)およびCUWの“添付書類の不整合”についても、F1-1のIC接続報告(2012.3.12)と同様の「無断変更の理由、不整合を放置してきた理由」の報告を求めるべきだと思います(両号機とも廃炉が決まっているから、もはやどうでもいい?)。
そして、F1-1でも敦賀1でも、「設置許可(基本設計)」と「実際の施工(詳細設計)」との“不整合”は、建設した「米・GE(ゼネラルエレクトリック社)」が施工上の便宜や経済性などの“安全性以外の要因”により設置許可内容を施工段階で“勝手に変更”したために生じたことは明らかです(「設置許可・施工」に対する日米の考え方・法的位置付けに根本的相違があった可能性もありますが)。
いずれにしても、安全審査を経た設置許可内容(本文でも添付書類でも)を施工時に“勝手に変更”しても、“不整合”が解消されれば「法的に問題なし」と容認する国の姿勢は、「設置許可(基本設計)」の著しい軽視であり、前稿の繰り返しになりますが、安全審査・伊方最高裁判決の前提を“根本から覆す”ものです。
 <2026.3.11了 仙台原子力問題研究グループI>