会報「鳴り砂」2024年5月20日号が発行されました

2024.5.20 会報「鳴り砂」2-130号
2024.5.20 会報「鳴り砂」2-130号別冊

(一面です)
さようなら原発全国集会in宮城、雨の中、1000人が参加!
9月女川2号機再稼働を止める闘いを県内外の連帯でおし進めよう!

 宮城県で初めて脱原発全国集会として、「さようなら原発みやぎ実行委員会」主催・「さようなら原発1000万人アクション」共催で、3月23日仙台市勾当台公園市民広場で開催された『STOP!女川原発再稼働 さようなら原発全国集会in宮城』は、参加者が震災後宮城県での脱原発集会では最大の1000人、そして全国240団体から協賛が集まり、大成功となった。
当日は午後から雨模様となり、一体どれくらいの人が参加してくれるのかが心配された。しかし、いざふたを開けると、様々な旗、とくに「北海道」「沖縄」など遠く県外の旗もあった。

 「宮城のうたごえ」のみなさんのオープニングを受け、「女川原発再稼働差し止め訴訟」原告の斎藤弘子さんの開会挨拶で幕を開けた。「能登半島地震をみて、私は13年前、看護師として塩竈市内の病院で災害救助活動を行っていた時、全国の支援者がヨウ素剤などをもって駆けつけて下さり感謝でいっぱいだった日々が蘇ってきました。控訴審における2月末の東北電力の反論(準備書面)には能登半島地震の「の」の字もなく、事故発生の具体的危険性を立証せよという従来の主張の繰り返しのみでした。能登半島地震が示したのは避難計画が完全に破綻したことでしたが、伊藤信太郎環境大臣や山中原子力規制委員長は、「原子力災害対策指針の改訂は考えていない」と発言。また、村井知事は「東日本大震災で今回と同様の経験はしているので、まずは再稼働させながら、いざというときの備えをしっかりすることが重要」と、断じて許すわけにはいかない発言をしています。裁判でも勝利し、必ずや9月再稼働を止めるために頑張っていきたいと思います」と、裁判と大衆行動の両輪で取り組んでいく決意が語られた。

 続いて「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人の鎌田慧さんが登壇。「私の出身の青森県では核施設が集中していて、東北では原発がつくられて来ましたが、これは沖縄、辺野古ばかりか先島諸島が戦場化しているのと同じで、地方をまったくバカにするものです。カネと暴力と陰謀と議会の非民主主義、これが原発をつくってきた。先進地視察という形で原発のあるところに地域ぐるみで旅行し2泊3日で飲ませ食わせする。文化人が新聞広告で500万円もらうとか、本当に信じられない不正と不正義で原発は作られてきました。」、「大間原発の予定地に「絶対土地を売らない」といって反対した小笠原あさ子さんの娘さんが今日の集会に参加しています。畑と海があれば人間生きていけるというのがあさこさんの哲学でした。人間はなにも高層ビルをつくったり、原発をつくったりすることはないのです。貧しい人たちの生活をどう守っていくのか、戦争をやめて仲良く暮らしていくためにはどうすればいいのか、そういうことを岸田は一回でも考えたことがあるのか、全くない。私たちの原発反対運動は核で汚染されない子供たちの未来をめざしています。生きているうちに、原発がシーンとして廃炉作業に進んでいく。そして自然エネルギーが静かに電気を作っていく、そういう平和な社会が絶対にきます。絶対にくるという自信を失っちゃダメなんです。この東北の地から声をあげて頑張っていきましょう!」と、長年核燃・原発を見続けてきた経験をもとにした熱い思いのこもった発言に、会場も聞き入った。

次に全国各地からの発言に移る。福島からはALPS処理汚染水放出差止訴訟原告団共同代表でいわき市議の佐藤和良さんだ。「海洋放出が昨年8月から開始されております。しかし、汚染水はいくら薄めても汚染水です。それを30年以上投棄すれば、海洋汚染は広がり、食物連鎖の中で人々の命にかかわってくるのではありませんか。漁業者の漁業権を守り、住民の平穏な生活権を守り、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という文書約束を反故にさせない、ということで提訴しました。国・東電は「原告不適格」として、これを却下せよという主張を行っています。漁業者がなぜ不適格なのか、われわれ住民がなぜ不適格なのか、なんか30年前の原発裁判を見ている感じです。賠償を値切り、様々な人の命と暮らしをこれだけ傷つけて子どもたちの未来を傷つけてきたにもかかわらず、原発の再稼働を女川で進めようとしている。絶対に許すことはできません。」

 次に「原発反対刈羽村を守る会」代表で、刈羽村議会議員の武本和幸さんが発言に立つ。「2007年の中越沖地震は大きな揺れが注目された地震でした。3.11は大きな津波が注目されました。今回の地震で一番大きなことは海岸が隆起したことです。4メートル隆起すると柏崎刈羽原発では冷却水が取水できなくなります。原発の審査基準にはこの地殻変動が入っていないんです。このことをみんなが知ることが大事です。また、柏崎では3月の始めに初代の規制委員長が来て、「福島で死者が多数になったのは避難したからだ。家でじっとしていれば死者は少なかった。」という講演をしています。ひどい話だと思います。新潟では大雪で動けないことが毎年のように一週間あります。避難するとかえって危険だから家で被ばくせよという方針に変わっています。去年はすごく暑かった年でしたが、6月の段階での電気予測が全部下回っています。電気はいらないという時代がきたということで、自信をもって反対運動を続けましょう。」

 続いて、東海第二原発運転差止訴訟原告団共同代表の大石光伸さんだ。「茨城県には福島事故でホットスポットができました。お母さんたちの母乳からも放射能が出る。畑も海も川もみんな汚染され、福島にあった私たちの牧場も汚染が酷くて撤退になりました。そこで生協がよびかけて裁判をはじめ、今は控訴審を闘っております。能登半島地震、もう原発はやめなさいという自然からの警告だと思います。ところが、1月13日に女川原発を訪れた規制委員長が「自然災害による原発事故でも、避難所を活用した屋内退避は有効だと思う」というのを聞いて驚きました。また村井宮城県知事、なんと国に対して「能登半島地震の教訓を十分に検討して新たな知見があれば共有してほしい」と要望したというんです。自分たちで検証してくださいよ。東海第二も同じで、東海村の避難計画が昨年12月26日に出されましたが、その5日後に能登半島地震です。さすがに東海村村長は「複合災害の場合を含めれば避難計画をゼロから検討するしかない」というんですが、自分たちで検証して「とても無理だ」といえばいいのに、国が国が、と自分たちで検証しようとしません。自治体や県は国の下僕なんですか? 県や自治体は県民の命を守ることが責務なのに、住民の立場にたってはっきりと国にものを言えなければ失格です。」

 続いて、「なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク共同代表」の大竹進さんだ。「今日は青森から30名で参加しています。今回志賀原発が非常に危険な状態になり、国や県、町は防災計画にのっとった対応がまったくできませんでした。防災の拠点のオフサイトセンターには、近くの避難所からあふれた人が40人以上避難したということで、非常に問題だと思います。下北には三沢に基地があります。戦争になれば原発と基地は真っ先に狙われてしまう。反原発・反核燃の運動は平和を守る運動であり、命と暮らしを守る運動でもあると思います。原発を止めるためには半島で暮らしている「土の人」と、各地で活動している「風の人」がコラボすることが重要だと思っています。私は整形外科医ですが、無医村佐井村に診療所を作って月に1回通っています。今年は核燃料サイクル誘致40年目の節目の年になります。YES PEACE! NO NUKES! ともに頑張りましょう。」

 発言の最後に、「Fridays For Future Sendai」の青木啓さんが発言に立つ。「日本政府は気候変動対策と称して原発再稼働を正当化しようとしています。これは明確なウソです。原発はウラン採掘から核のゴミを管理するところまで大量のエネルギーを必要とし、莫大なCO2排出があります。その全体では化石燃料以上かもしれないと、様々な研究成果が示しています。原発は気候変動対策に対する最も大きな脅威です。昨年のCOP28では、米日など23カ国が原発の発電容量を3倍にすると宣言しました。あってはならないことです。原発という悪質な発電から、地域分散型の再エネへと切り換えていく必要があります。東北電力は原発で発電コストが減らせますといってきましたが、これも間違っています。原発を維持するが再稼働をしない選択と、原発を再稼働する選択を比べて、再稼働するほうが安いといっているんです。原発をやめるという選択肢がはじめから抜けているんです。毎年1000億円も原発のためにおカネを使っていて、それを電気料金から捻出している。こんなことがあってよいのでしょうか? 私たちは反貧困運動と協力しながらエネルギー貧困の問題に取り組んできました。夜は電気をつけない、風呂も入れない、そういう生活をしている人がこの仙台にいます。そして、上がった電気料金で東北電力は過去最高の利益を上げているといいます。こんなことが許されてよいのでしょうか? 私たちの住む社会はエネルギーの民主主義がまだなされていない社会です。私たちの住みたい未来を自分たちで考えて作っていく、そんな一歩にしたいと思っています。」と、振り絞るような熱いメッセージをよせてくれた。

 集会の最後に、「集会宣言」を女性ネットの丹藤量子さんが読み上げる。
「私たちは、東北電力と宮城県に対し、今年9月に予定している女川原発2号機の再稼働を中止することを求めます。国に対しては、全国の原発の運転をただちに停止し、能登半島地震の知見を原発の耐震安全対策、原子力災害対策に全面的に反映させることを求めます。私たちは決してフクシマを忘れません。28年もの長きにもわたる抵抗のすえ、原発誘致を阻止した石川県珠洲市の市民の闘いに学び、日本のどこにも原発はいらないと声を上げ続けます。」
この集会宣言は拍手で採択され、翌日には東北電力・村井知事・岸田首相に郵送された。

 集会後、県外の参加者を先頭に、いつもの一番町をデモ行進した。途中で議員のみなさんの応援演説を受けながら、いつまでも続く長い列に、参加者もいつもにも増して高揚して声をあげた。翌24日には、各地から参加した方と、女川ツアーや仙台での全国相談会などで、交流・意見交換を行った。

能登半島地震を受け、避難計画は破綻した。住民のいのちや健康を顧みない国や電力に原発を運用する資格はない。能登や福島の事例を教訓化せずに被災原発である女川原発を再稼働させてはならない。県内外で培った連帯で再稼働を止めよう。6月宮城県議会などでの論戦、7月の女川現地講演集会・町内デモなど、来る決戦に向けた闘いをみんなで推し進めていこう。(舘脇)