会報「鳴り砂」2026年1月20日号が発行されました

「会報鳴り砂」2026年1月号(2-140号)

「会報鳴り砂」2026年1月号(2-140号)別冊

冒頭論文です
特定重大事故等対処施設がない女川原発は直ちに止めろ!
福島原発事故から15年 原発回帰の流れに抗し、原発ゼロを目指し今年も頑張ろう!

今年2026年は福島原発事故から15年の節目になる。事故の直後、首相官邸前デモに象徴される原発反対の波はここ宮城県でも巻き起こり、様々な個人・団体が声をあげた。もはや原発を新しくつくることはできず、このままフェイドアウトすると誰しも思った。しかし、原発推進勢力はそれほど甘くはない。人々が原発事故の惨禍を忘れることをにらみつつ、この15年徐々に原発回帰の動きを強め、2023年「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定で「原発の最大限活用」を謳って舵を切り、ついに昨年2025年には第7次エネルギー基本計画の閣議決定で「可能な限り依存度を低減する」という文字が削除され、「必要な規模を持続的に活用」すると明記されるに至った。
ここ宮城でも女川原発2号機が2024年末に再稼働され、BWR、また東日本での原発回帰の先駆けとされた。しかし、決してその目論みは予定通り進んでいるわけではない。女川原発に続くBWRの稼働は島根2号機のみで、東日本ではいまだ実現していない。柏崎刈羽6号機がこの1月にも再稼働を強行しようとしているが、世論は2分されたままだ。
その一方で、原発の安全対策や、ましてや新設には巨額が必要であり、電力会社にとってはリスクが高いことから、政府が制度設計をして支援しなければ成り立たないことが明らかになっている。また、女川はじめ各地で進められている「乾式貯蔵施設計画」も、原発が必然的に生み出す「核のゴミ」が処理できないことの矛盾の現れだ。原発回帰政策によりかえってあぶりだされるこの解決不能の問題性を全面的に暴露し、原発が決して持続可能な発電方法ではなく、そして巨大事故のリスクが依然変わっていないことを訴えていこう。

新たな「規制の虜」を打ち破れ!3.28県民集会に結集を

12月12日、「みやぎアクション」など市民は、11月12日に東北電力に提出していた質問書(「女川原子力発電所2号機の「特定重大事故等対処施設」の設置期限延長と最近のトラブル、地球温暖化対策などに関する質問書」)に対する回答交渉を行った。
質問項目は以下の6点。【1】特定重大事故等対処施設について【2】制御棒の不具合について【3】使用済燃料の乾式貯蔵施設について【4】水素濃度検出器の異常値と交換について【5】女川原発の降水対策について【6】トランプ政権に約束した米国産石炭の複数年購入について(詳しい質問と回答は、「風の会HP」「女川原発2号機特重施設等の質問と東北電力回答」で検索して下さい。)
質問に対し東北電力は、「特重施設は…再稼働時に新たに配備した可搬型設備などによる人的な対応に加えて、信頼性を更に向上させる為のバックアップとして設置されるものであることから、設置時期が遅れることで安全性に影響があるものではないと考えております」「トンネルを構造的に支える壁や天井・床などの土木躯体工事については…頑健性を有することが新規制基準で要求されているため、大規模な工事が必要となっております。例えば通常の建築物に使用されるものよりも太い鉄筋の大量組み上げ、壁圧が大きいことによる大量のコンクリート打設などが必要となります」などと回答している。
この質問は、特重施設の建設が労働環境の変化により予定より遅れることを公表したことをきっかけに行ったものだが、恐るべきことに東北電力は「バックアップだから無くてもいいんだ」という回答をしてきたのである。これに対し当然のことながら交渉にあたった市民は「大事な安全対策工事が完成しないのだから、それは住民にとっては不安であり、リスクだ」「正常運転に支障ないから特重施設の遅れはしょうがないっていうふうな考え方は想定としておかしい。作んなきゃ駄目だっていうふうに規制基準でなっているっていうことは、運転していく上で絶対に必要な施設だからでしょう。そもそも5 年の猶予があること自体がおかしい」などと口々に抗議した。
しかしあろうことか、東北電力は「特重施設については、外的な要因によって状況の変化が生じた場合には、事業者からの申出があれば、原子力規制委員会としても期限の見直しについて議論をすると述べております。当社としては、原子力エネルギー協議会(ATENA)と連携のもと、適切に対応してまいります」とし、業界団体とともに規制委員会にさらに3年の猶予を求めることを明らかにしているが、これは電力会社が規制委員会に安全対策について要求してもかまわない、という空気になっていることを示している。
まさにこの動きは、冒頭に述べた「原発回帰」の動きと軌を一にしたものだ。福島原発事故を調査した国会事故調が、その原因を「規制の虜」に求めたが、まさにそれが復活しつつある。安全対策の制度の面からも原発回帰を後押ししているのである。60年運転可能もしかりだ。
私たちの役割は、こうした政府・電力会社の「安全軽視」への動きを監視し、それを押しとどめて重大事故による影響をいかに少なくするかとともに、そもそもその源である原発そのものの停止・廃炉を求め続けることだ。

東北電力との交渉では、「制御棒1本が挿入できなくなったとしても原子炉の安全性に影響を与えるものではありません」などの回答もあったが、制御棒駆動装置や水素濃度検出器の不具合があっても、原因不明のまま稼働し続けている、その姿勢に批判が集中した。
それはわれわればかりではなく、「女川原子力発電所環境調査測定技術会技術会」(11.13)では水素濃度検出器の不具合について、岩崎智彦委員が以下のように痛烈に東北電力と宮城県を批判した。「…理由が判らず4つのうち2つが壊れて残りの2つが信用できるのか?ということをなぜ考えなかったのですか。そのせいで県民は危険にさらされたかもしれない。福島のように事故が起こって環境に放射能が飛来して汚染されたかもしれない。これは非常に危ないですよ。県の方は危ないと判断されませんでしたか? しっかりとお答えください」

女川原発2号機は、1月14日より約5カ月間の予定で、定期事業者検査のため稼働を止めると発表されているが、なぜ定検に5ヶ月もかかるのかは不明である。今年12月からは、特重施設ができていないため、また止めることになるので、このまま止め続けることを求めていきたい。
女川はじめ、三陸の復興はまだまだ道半ばである。昨年12月8日には青森県東方沖で地震が発生し、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発令されるなど、今後も地震・津波の脅威は続く。原発などの核施設の存在によって、被害・影響が甚大化し後世にまで残り続けるというのが福島原発事故の教訓だったはずだ。そのことを決して忘れず、自然とともに暮らし続けていくことのできるふるさと三陸・東北を、みんなの力でつくり続けていこう。
3月28日には新しくなった仙台市勾当台公園で宮城県民集会も予定されている。今年も昨年以上の声を仙台市内で轟かせていこう。
(舘脇)