会報「鳴り砂」2026年3月20日号が発行されました

会報「鳴り砂」2026.3月20日号 2-141

会報「鳴り砂」2026.3月20日号別冊 2-141

(一面論文です)
福島原発事故から15年 原発の危険性・非倫理性はなんら変わっていない
~継続した市民の闘いが原発を止める唯一の手段~

 3月1日、「みやぎ金曜デモ600回記念」集会が仙台市錦町公園で開催され、いつもの6倍ほどになる130人もの市民が結集した。苫米地サトロさんが「ビキニデー」にちなむ「ラッキードラゴン」など4曲を熱唱したあと、臼井典子さんや須藤道子さん(市民と野党の共闘で政治を変える市民連合みやぎ)、立石美穂さん(脱原発スタンディングの会)、佐藤光彌さん(山形・脱原発ウオーキング共同代表)、中嶋廉さん(津島原発訴訟を支援する宮城の会・世話人)の5人がそれぞれの思いを発言。デモは熱気にあふれ、常連の参加者にとっては、通常の少人数のデモの背後に多数の思いが存在していることをまざまざと感じさせるものとなった。

一方、2024年末に再稼働した女川原発2号機は、13ヶ月の運転をへて今年の1月に定期点検に入った(約5ヶ月間の予定)。この間、制御棒稼働装置が手動では動かないなどのトラブルが相次いだ。特に、新しく設置された水素濃度検出器は4台中2台が正常に検出できず運転を停止して交換する事態となったが、原因は未だに不明だ。
そして昨年10月、東北電力は2026年12月から1年半、女川2号機の稼働を止めると発表した。設工認認可から5年以内に設置が義務付けられている「特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)」が完成しないためだ。しかし、あろうことか2月18日、原子力規制委員会は、このテロ対策施設の設置期限を延長する方向で検討に入った、と明らかにした。これにより、当初予定していた12月からの稼働停止が延長され、稼働が継続される可能性が出てきた。これは東北電力など業界団体が規制委員会に圧力をかけた結果だ。
福島原発事故の原因を国会事故調は「規制の虜」だと喝破した。まさに今、規制される側の電力会社の都合により、規制が骨抜きにされようとしている。

これは「第7次エネルギー基本計画」に端的に示される原発回帰の動きと軌を一にしている。司法では2022年6.17判決により福島原発事故における国の責任を免罪し、その後の裁判に大きな影響を与えている。こうした、政府・規制・司法、そして自民党圧勝となった国会による原発回帰の動きは今後ますます強まることが予想される。
しかし、私たちは福島原発事故が何をもたらしたのかを忘れることはできないし、またそれを繰り返させるわけにもいかない。この15年で、甲状腺ガンにかかった子どもは400人、また避難し故郷に戻れない人は少なくとも2万人以上にのぼる。しかし、「福島復興」「原発回帰」のかけ声のなかで、そうした被害や苦しみの声がますますかき消されようとしている。そうしたなか、勇気をもって訴えた「311子ども甲状腺がん裁判」の原告のひとりは、意見陳述で以下のように語った。「私が受けてきたものは構造的暴力です。命より、国や企業の都合を優先する中で、私たちの存在はなかったことにされていると気づきました。私たちは論争の材料でも、統計上の数字でもありません。甲状腺がんで、体と人生が傷ついた私達は、社会から透明にされたまま、日々を生きています。私にとって福島で育つということは、国や社会は守ってくれないということを肌で感じることでした。…でも、私は、抵抗しようと思います」
こうした声に寄り添い、「構造的暴力」に抗する市民の闘いの継続こそが原発を止める唯一の道であることを、ともに肝に銘じよう。3月28日の「さようなら原発宮城県民集会」に昨年を上回る結集で、市民の力を見せつけよう!

規制の 「骨抜き」 と、政府・財界一体となった原発推進に抗していこう!!-風の会 「会員のつどい」 開催-

 2月21日、仙台市戦災復興記念館で「2026会員のつどい」が開催され、会場・オンライン計21人が参加した。冒頭に原発問題住民運動宮城県連絡センター世話人の中嶋廉さんから、「原発の導入に関わる世界および日本の動き」と題して、お話を頂いた。

●規制の体をなしていない規制委員会
浜岡原発で基準地震動のデータを改ざんしていたということが発覚した。改ざんの疑いのある会社のうち2社が女川原発の地質調査にも関与していたので、1月23日に宮城県に申し入れをした。その時に、東北電力にすべてのデータを公表させ、いろいろな専門家を集めて検証すべきだと要求した。東北電力社長が「問題はありませんでした」と発表した(1月30日)けど、我々は電力会社の事故隠しとウソを何回も経験してきています。データを全部出すように求めて、追及しなきゃならない。基準地震動を計算するのは、本来なら原子力規制委員会がやるべきじゃないですか? 実際には電力会社が下請けに出してやっている。規制機関としての体をなしていない。
また、テロ対策施設の件ですが、ヨーロッパの最新の原子炉は格納容器が2重です。外側の格納容器は飛行機が墜落してきてもすぐには壊れないのですが、日本の原発は元々二重格納容器にはなっていない。だから、その代わりにテロ対策施設を作れと言っているのですが、直接航空機の落下に対して対策をとるものではなく、事故後の対策のバックアップを増やしているだけです。電力会社も、こんなに金をかけてもそんなに役に立つのかなと思っているのでしょう。だから猶予期間をもう少し延してくれと要求している。住民の立場から見ると、無防備の状態が延長するだけで、安全対策の後退でしかない。テロや航空機の落下に対する直接の対策がないまま原発を再稼働させたことに、そもそもの間違いがあったのではないか。

●財界の圧力
3.11が起こった時、みんなもう原発やめようと思い、菅直人内閣が「2030年代に原発ゼロ」にしようと打ち出した。今は真逆になっている。
振り返ってみると、アメリカと財界の圧力が非常に強力だった。2011年9月からスタートした野田政権が「革新的・エネルギー環境戦略」を公表したら、アメリカの商務省・国際的なシンクタンク・財界から強烈な圧力があった。当時の経団連会長が原発ゼロは許しがたいと言って、結局、「革新的・エネルギー環境戦略」そのものは、閣議決定が見送りになった。2012年に誕生した安倍政権の初仕事は、エネルギー・環境会議を解散することだった。
一方で、当時の茂木経産大臣が電力会社の社長たちと会って、「電力自由化による発送電分離は受けいれるけれども、原発の再稼働については約束してくれ」と言われ、2013年3月の自民党総務会で電力システム改革4条件の中に原発再稼働というのが入った。そして安倍政権が同年4月に電力システム改革を閣議決定した。電力会社の側からすれば、原発再稼働を電力改革の交換条件として約束した以上、「やれっ」と、圧力をかけることができる根拠を持ったことになる。

●ウクライナ戦争の影
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵略が転換点です。エネルギー事情が逼迫するという理由で、自民党と維新の会が、原発利用を提言した。岸田総理が原発最大限活用に踏み切ると4月8日の記者会見で表明し、経団連が5月にグリーントランスフォーメーション推進計画を提案した。その直後の6月17日に、最高裁が福島原発事故に関する国の責任はないという判決を出した。これが、たいへんな追い風の役割を果たした。6.17最高裁判決で岸田政権がGX推進になったわけではなく、引き金はウクライナ戦争です。財界が準備して、最高裁判決が後押しする役割を果たした。
石破政権のGX2040ビジョン、これを具体化した第7次エネルギー基本計画などに基づいて、高市政権は政策を進めている。この12月にGX実行会議があり、北海道に半導体工場を立地させ、柏崎刈羽原発の近くにデータセンターを建てる、そこで使う電気は全部泊原発とか柏崎刈羽原発から送る。脱炭素電源ですべての電気を賄う企業がその地域に貢献するような設備投資をやったら、その投資額の最大50%を政府が肩代わりするという「GX戦略地域制度」というものをつくった。
原発新増設には、小型モジュールだろうとなんだろうと、今までの原発の数倍の建設費がかかる。そこで電気料金に上乗せして国民に負担させるために、脱炭素電源オークション制度というものを作ってきた。それだけでは資金が足りないかもしれないので、郵便貯金に目をつけた。財政投融資のお金を政府が借り、電力広域的運営推進機関(OCCTO オクト)にお金を貸して、そのOCCTOを通じて電力会社に原発新増設のための金を流そうとしている。

●世界の原発 衰退は逃れようがない
世界ではいま約430基の原発が運転中で、原発大国はアメリカ、フランスです。ところがその約3割が40年超の運転となっている。経済性のある原発はつくれそうもないので、既存原発を80年超えて運転することが計画されている。
最近5年間、建設された原発のほとんどが中国、ロシア製の原発です。
原子力小委員会の資料では、原発関係の日本企業は長い間、発注も受注もない。ですから、日本では圧力容器を作れる会社が一社しかなくなった。沸騰水型の核燃料を作れる会社が国内から姿を消してしまった。アメリカも同じような事情にある。中国は、労働者の賃金が低いため、例外的にギリギリ採算が取れているようだ。中国はめちゃくちゃに原発を導入していますが、全発電量に対する原発のシェアは4%で、原発を持っている国の中で一番低い。これは、原発の数倍の再生可能エネルギーを導入してからで、中国は再エネ大国になっている。
アメリカでも日本でも、もう原発は衰退産業になっていて、全く競争力はなくなっているし、技術も失い始めている。アメリカで新しい原発を日本の金で作らせようというのがトランプの策略ですが、アメリカに投資して地球環境を壊す、そういう愚かなことを高市政権はやろうとしている。

●安全性軽視と核燃料サイクルの破綻
第7次エネルギー基本計画では2035年までに原発の発電比率を22%にするのが目標ですが、逆立ちしてもできない。そのため、稼働率を90%まで上げようとしている。今は運転期間13ヶ月、定期点検3ヶ月だけれども、オンラインメンテナンス(運転しながらメンテナンスする)で連続運転期間を15ヶ月に延ばして定期点検は1ケ月くらいで済ませるようにできないかという議論がされている。安全対策がぶっ飛ぶ可能性がある。
また、プルトニウムが増えているので、少しでも減らそうとして、プルサーマル運転の推進が打ち出されている、最近、中国電力が意欲を示した。仮に女川3号機でプルサーマル運転をやれば、使用済MOX燃料は発熱量が大きいので、50~60年はプールで冷やし続ける必要がある。つまり建屋と使用済燃料プールを100年超えて安全に維持する責任が生じる。それでもやるんですかと、問いかけておいた。
衆議院では1%しか原発ゼロの議員はいなくなってしまった。しかし、さまざまな面で原発は行き詰まっている。大義を持っているのは我々で、確信を持って押し返していく必要がある。

 質疑応答に続き議事に移り、昨年の活動報告、会計報告および今年の活動方針を参加者全員で確認したあと、参加者ひとりひとりから発言を頂いたが、思いをみんなで共有できたことは、「つどい」を行ったことの最大の成果であり、この日出された課題と目標に向かって今年も頑張っていきたい。 (舘脇)