6月17日、県内55団体が宮城県と東北電力へ申し入れを行いました

6月17日、県内の55団体が連名で、宮城県と東北電力へ申し入れを行いました。
以下その内容です。

240617 村井知事への要望書

240617 東北電力への質問書

(村井嘉浩宮城県知事あて)
能登半島地震で明らかになった課題から目をそむけず、再稼働がはらむ危険が大きくなったことを直視して、地元同意を撤回して再稼働を中止させることを要請します
2024年6月17日

元日の能登半島地震は、原発の地震対策と避難計画の不備を浮かび上がらせましたが、政府と原子力規制委員会は、課題に真摯に向き合っていません。再稼働を中止させて県民の安全を守るために1月22日、地元同意の撤回を要請しましたが、貴職はまたも課題から目をそむける態度をとりました。
その後の2月6日、東北電力が女川原発敷地内に使用済燃料の乾式貯蔵施設を設置する計画を打ち出しました。これは老朽化後までの運転期間延長を可能にしようとするもので、再稼働後の事故の危険はますます大きくなりました。4年前の地元同意は、運転期間40年を前提にした法制度の下で行われたものです。立地自治体として何の検証も議論もしないで、事故の危険が増える老朽化後までの運転延長を前提にした再稼働を認めていいのでしょうか。
東北電力は5月27日に9月再稼働を表明しましたが、工事が完了したという安全対策は、世界の水準には遠く及ばない規制基準によるものです。水素爆発対策に見られるように新たな知見への対応は不十分で、能登半島地震が突き付けた課題にも対応していません。とくに女川原発は、世界一地震の影響を受けやすい原発であり、能登半島地震が突き付けた海底活断層の連動、隆起などの地殻変動の影響を検証しないまま再稼働させることは、重大な禍根を残すものです。
そのうえ原子力規制委員会は、老朽原発運転の判断を政治に任せ、検査制度を電力会社の自主検査を基本にしたものに改悪し、原子力規制をさらに後退させました。
女川原発が事故を起こして、福島第一原発2号機と同等の放射能を放出した場合、発生する被害は少なくとも106兆円と試算されています。
女川原発を再稼働させることがはらむ危険は、貴職が地元同意を与えた4年前よりもはるかに大きくなっています。避難計画は「全面崩壊した」と指摘されており、実効性を欠いたままの再稼働は許されません。使用済燃料の再処理が破綻したもとで、原発立地地域を「核のゴミ捨て場」にしようとする動きには、ストップをかける必要があります。これらのことを直視して、再稼働を中止させる地元同意の撤回を決断するよう、あらためて求めるものです。
 関連して、以下の3つの事項についても、貴職の対応を求めるものです。
 回答はそれぞれに対して、一カ月以内の回答をお願いいたします。

【1】 能登半島地震で、「避難計画は全面崩壊した」と指摘されています。道路施設の被害発生を考慮したまともな避難計画に改めること、住民の被ばくを検証する取り組みを求めます。

【2】使用済燃料の乾式貯蔵施設の設置計画について、住民説明会を各地で開催することを要請します。
使用済燃料の保管は、長期になればなるほど地域に巨大な危険と負担をもたらすので、住民合意のない同意はしないよう求めます。

【3】専門家を集めて、県独自の「安全性検討会」(仮称)を再設置し、能登半島地震で不備が明らかになった海域活断層の調査と地震対策の再評価を求めます。

(樋口康二郎東北電力社長あて)
女川原子力発電所2号機の再稼働に関わる判断、および乾式貯蔵施設の設置などに関わる質問書
2024年6月17日

 貴社は5月27日に女川原子力発電所2号機の安全対策が終了し、9月に再稼働させることを発表しました。そこで、再稼働に至った判断と再稼働に関わる以下の事項について、ご説明をお願いいたします。一カ月以内にご回答をいただきますよう、要望いたします。

【1】、女川原子力発電所2号機を再稼働について。

私どもは第一に、4年前に立地自治体が同意した以降に情勢も法制度も大きく変わり、再稼働の危険ははるかに大きくなっていると考えています。第二に、能登半島地震で避難道路の通行止めの発生が避けられないことや現行の避難計画では住民の被ばくを防げないことが明らかになり、実効性を欠いた避難計画をそのままにした再稼働は許されないと考えています。第三に、再処理のゆきづまりがますます明らかになったもとで、すでに発生している「核のゴミ」を安全に管理する道についての国民的論議を始める必要があり、使用済燃料を増やす再稼働は中止すべきであり、立地地域に新たな危険と負担を押しつける乾式貯蔵施設の設置は論外だと考えています。この3つの論点について、貴社の考えをご説明ください。
 能登半島地震のあと、珠洲に原発をつくる計画が中止になったことについて、多数の住民から「あの時に阻止してよかった」との声が上がりました。貴社は、この経緯をどのように受け止めているでしょうか。女川原発周辺の海域活断層の調査や連動性の再評価などを行うですが、女川原発では能登半島地震のような地震災害は起きないと考えているのでしょうか、貴社の判断をご説明ください。

2,事故の危険はなくなってはいません。女川原発2号機が重大事故を起こして、福島第一原発事故により同2号機から放出されたものと同等の放射能が放出されれば、約106兆円以上の被害が発生すると試算されています(上岡直見氏『原子力防災の虚構』による)。貴社は、再稼働させる判断に当たり、事故のリスクをどのように評価したのでしょうか、ご説明ください。

3,電力9社は、再生可能エネルギーによる発電所からの送電を優先する「優先給電ルール」をキチンと守らず、再エネ発電の電気に対する接続抑制により、昨年は全国で750億円もの損失が発生しました。女川原発2号機が再稼働すれば、貴社の再エネ発電に対する接続抑制は拡大すると思われますが、再エネ発電に対する接続抑制のこれまでの実績と再稼働後の見通し、火力発電の抑制などを求める経済産業省の「出力抑制対策パッケージ」(2023年12月)にどのように対応するかについて、ご説明ください。
【2】、乾式貯蔵施設の設置計画、および住民説明会の開催について。

1,貴社は、乾式貯蔵施設2棟を設置する計画を申請しました。設置すれば使用済燃料プールに「空き」をつくることができるので、営業運転から40年というこれまでの原則を超えて、老朽化後までの2049年頃までの運転延長が可能になりますが、運転延長をいつまでと考えているでしょうか。乾式貯蔵施設を増設すれば、さらに運転することも可能ですが、どのように考えているのでしょうか、合わせてご説明ください。

2,老朽化後まで運転を続けることは、事故の危険をますます増やすので、私どもは反対です。
  貴社は、老朽化後まで原発を酷使する危険をどう判断しているでしょうか、ご説明ください。

3,貴社が乾式貯蔵施設の設置を申請したのは、使用済燃料の再処理が行き詰まっているからです。乾式貯蔵したとしても搬出先は見当たらないので、女川原発の敷地は半永久的な「ゴミ捨て場」にされるのではないでしょうか。乾式貯蔵した後の使用済燃料の搬出先はどこでしょうか。搬出はいつになるか、保管期間をどう考えているかについても、ご説明ください。

4,貴社は、行き場を失っている使用済燃料について「敷地内外での保管」を検討してきました。「敷地外での保管」とは、敷地外に中間貯蔵施設をつくることや他社の中間貯蔵施設の共同利用ではないかと推察しますが、検討してきた内容とその実現可能性について、ご説明ください。また、敷地外保管の検討は今後も続けるのでしょうか、合わせてご説明ください。

5,乾式貯蔵施設の設置は、立地自治体と周辺地域に長期間にわたり大きな影響を及ぼすものです。私どもは、住民説明会の開催を宮城県、女川町、石巻市に提案していますが、貴社にもすすんで開催することを要請いたします。貴社のお考えをご説明ください。

【3】女川原発1号機の廃炉について。

1,女川原発1号機の廃炉が進行中ですが、今後の解体で放射能汚染廃棄物L1、L2、L3が発生しますが、その時期はいつになるか、L1、L2、L3のそれぞれの処分方法と処分先について、現時点での予定をご説明ください。

2, 福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の焼却灰は、水が浸透しない遮断型処分場で管理することになっています。ところが女川原発1号機から発生するL3の放射性廃棄物は、指定廃棄物の焼却灰を上回る放射能濃度があるにもかかわらず、素掘りの穴に投棄するトレンチ処分が計画され、およそ50年後からは放置されるのが実態です。L3廃棄物のトレンチ処分は非常に不適切です。とくに敷地内でのトレンチ処分は、海があまりにも近いので、水産業に被害を及ぼさず、海と環境の汚染を確実に防止するために、やるべきではないと考えています。貴社の予定と考え方をご説明ください。

【4】、女川原発3号機の再稼働について。

 貴社は、女川原発3号機の再稼働について問われると「検討中」と回答を繰り返してきました。
 検討終了の時期と、どのような要件を満たせば再稼働させるのかを、ご説明ください。

【要請団体】
女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション(代表 鈴木宏一)
原発問題住民運動宮城県連絡センター(共同代表 斎藤信一 小林立雄)
女川原発の危険から住民の生命と財産を守る会(事務局長 高野博)
石巻地方護憲平和センター  (会長 千葉眞良)
大崎耕土を放射能汚染させない連絡会 (共同代表 鎌内あつ子 中嶋信 齊藤重美 )
女川から未来を考える会(代表 阿部美紀子)
女川原発再稼働に反対する涌谷の会  (代表 櫻井伸孝)
女川原発再稼働に反対する東松島市民の会  (事務局長 石垣好春)
女川原発再稼働ストップの会  (代表 勝又治子)
女川原発の避難計画を考える会  (代表  原伸雄)
女川原発UPZ住民の会 (代表 勝又治子)
女川原発の再稼働を許さない石巻地域の会 (代表 中山亨)
共生型ケアをひろめる会  (事務局長 長沼利枝)
原発問題を考える登米市民の会 (代表  石川裕清)
原発いらない十三浜の会  (代表 佐藤清吾)
原発いらない宮城ツユクサの会 (代表 松原くに子)
子どもの健康を考える会.・いしのまき  (共同代表 齋藤みや子 長沼利枝)
子どもたちを放射能汚染から守り、原発から自然エネルギーへの転換をめざす女性ネットワークみやぎ (事務局長 本田永久子)                  
蔵王町 3.11後の健康を考える会(サクラソウの会) (代表 高木克純)
さようなら原発inいしのまき実行委員会 (実行委員長 佐藤清吾)
塩釜生活と健康を守る会  (会長 虎川太郎)
シニア・ワーカーズコープ仙台 (代表 森田眞理)
新日本婦人の会宮城県本部 (会長 佐々木ゆきえ)
新日本婦人の会石巻支部  (支部長 今野ツヤ子)
生活協同組合あいコープみやぎ (理事長 高橋千佳)
全国一般全国協議会宮城合同労働組合 (委員長 星野憲太郎)
仙台・羅須地人協会(代表 半田正樹)
脱原発仙台市民会議 (共同代表 篠原弘典 水戸部秀利)
脱原発金曜スタンデイングの会 (代表 立石美穂)
鉄道産業労働組合 (委員長 高橋 勇)
日本キリスト教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ (運営委員長 布田秀治)
宮城県母親大会連絡会 (会長 佐藤郁子)
石巻母親大会連絡会 (会長 中山悦子)
古川母親大会連絡会 (会長 大高誠子)
遠田母親大会連絡会 (会長 鈴木由美)
鹿島台母親大会連絡会 (会長 林直子)
太白区母親大会連絡会 (会長 高橋幸子)
若林区母親大会連絡会 (会長 佐藤多恵子)
青葉区母親大会連絡会 (会長 雫石壽子)
泉区母親大会連絡会 (会長 高平美恵子)
宮城野区母親大会連絡会 (会長 池原亮子)
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター (事務局長 小川静治)
婦人民主クラブ宮城県支部協議会 (会長 大木れい子)
船形山のブナを守る会 (代表世話人 千葉文彰)
放射能汚染廃棄物の焼却処分に反対する石巻地域の会  (事務局長 日野正美)
放射能汚染から美里を守る会 (代表 ルイス・F・レオン)
南三陸原発を考える会 (代表 小野寺久幸)
宮城全労協 (議長 大内忠雄)
宮城県民主医療機関連合会 (会長 宮沼弘明)
宮城県平和委員会  (会長 青木正芳)
宮城県護憲平和センター (理事長 砂金直美)
宮城県労働組合総連合  (議長 高橋正行)
宮城県教職員組合  (委員長 渡辺孝之)
みやぎ脱原発・風の会 (事務局長 舘脇章宏)
みやぎ金曜デモの会 (代表 西新太郎)

以上