会報「鳴り砂」(2020.5.20号)が発行されました

会報「鳴り砂」2-106号(通巻285号)2020.5.20
会報『鳴り砂』2-106号 別冊 2020.5.20
新型コロナウイルス感染拡大状況下での女川原発2号機再稼働「地元同意」手続きの停止を求める申し入れ(宮城県知事あて)
新型コロナウイルス感染拡大状況下での女川原発「安全対策工事」の停止を求める申し入れ(東北電力あて)
女川原発二号機の再稼働に同意しないことを求める要請書 (石巻市長あて)
宮城県議会への「女川原発の再稼働をしないように求める請願署名

(1面論文です)
コロナ禍の中でも、女川2再稼働を止める闘いの継続を!
―「県議会請願署名」運動にご協力を!―

東北電力は4月30日、女川原発2号機の再稼働の前提となる安全対策工事の完了を、これまでの2020年度後半から、2022年度に延期すると発表した。延期は4回目だ。延期の具体的な理由について東北電力は、規制委員会での審査の結果、「地下水位低下設備の信頼性向上対策」や「竜巻防護ネットの設置工事」が追加されたこと、および、それらに加え従来から計画していた「防潮壁の設置工事」も狭隘な2号機海水ポンプエリアで実施するため、現場工事工程の調整を行った結果、2022年度の工事完了を目指していくこととした、と発表している。
 その一方、新型コロナウイルス感染拡大で、宮城県にも「緊急事態宣言」が発令され(4月16日~5月14日)、再稼働を進める側でも、またそれを止めようとする私たちの運動の側でも、少なからず影響を受けている。そうした通常とは違った状況ではあるものの、私たちは決して警戒を解くことなく、今できることに尽力して、再稼働を止める闘いを進めていきたい。

●東北電力と宮城県に緊急の申し入れを実施

 5月14日、県内18団体が東北電力に対し、新型コロナウイルスの感染が広がる中で女川原発2号機の安全対策工事を行うのは感染のリスクが高いとして、工事の停止を申し入れた。また、同日宮城県に対しても、再稼働「地元同意」手続きの一旦停止を申入れた。マスコミの関心も高く、テレビニュースや新聞で取り上げられた。
 これら2つの申し入れにはそれぞれ現実的な根拠がある。まず、原発での工事について。現在、女川原発では一日当たり約2800人が工事や点検などを行っているが、密閉を基本とする「放射能対策」と、3密を回避し換気を基本とする「コロナ対策」は真逆であり相容れない。実際、玄海原発では「特定重大事故等対処施設」の工事関係者2人が新型コロナウイルスに感染したことから、4月14日から24日まで工事を中断した。また、柏崎市内の東電関係者5人が新型コロナウイルスに感染したことを受け、4月27日から5月10日まで柏崎刈羽原子力発電所内の工事件数の8割が中断に追い込まれている。
申入れに対応した東北電力広報地域交流課の担当者は、「安全対策工事は業務の優先度が高く、引き続き感染防止対策を図りながら続けたい」と答えたが、飲食店など多業種に「休業要請」「自粛要請」が出される状況下で、リスクが高く「不要不急」な原発の安全対策工事を中止しないのは、工事関係労働者の安全を守る観点からも間違っていると言わざるを得ない。
 また、村井県知事への申し入れは、新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人が集まる「住民説明会」を開くことができず、県民の理解を求められる状況ではないことや、女川原発2号機の安全対策工事の完了時期が2022年度に延期されたことなどから、感染が収束し、社会経済の混乱が収まるまでは、再稼働に向けた手続きを進めないよう求めたものだった。
これは、4月22日に開かれた女川町議会の原発対策特別委員会において、当初予定されていた資源エネルギー庁と原子力規制庁の担当者からの聴取が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期された中で、宮元委員長が「いつ結論を出すという目標が立てられない状況。新型コロナが終息しなければ、省いて進めることも考えられる」と話したと報道されたことも背景にある。
当初県が思い描いていた安全性検討会や住民説明会の開催ができなくなっている中で、拙速に結論を出そうとすると、プランの縮小または変更がなし崩し的に行われる恐れがあることから、あらかじめそのような「スケジュールありき」の対応をしないように求めるものだった。すでにBWR型で審査「合格」済の柏崎刈羽6、7号機と東海第2は、いずれも地元同意には至っていないことからいっても、また今後安全対策工事に無理があることが判明しないか、その経費に東北電力は耐えられるのかといった「問題山積」の状況からいっても、女川2号機の「地元同意」手続きを進める必要性・緊急性はまったく「不要不急」である。
 申入れに対応した県原子力安全対策課の伊藤健治課長は、「今は何も決まっていない」と繰り返すにとどまったが、コロナ対策で露出度の多い村井知事には、あくまで県民の健康と生活を守ることに集中していただき、再稼働問題について検討するのはコロナが収束してからにしてほしいというのは、大多数の県民の思いではないかと考える。

●6・14「みやぎ県民大集会」は一旦白紙に

 一方、昨年から「実行委員会」を結成して準備してきた「さようなら原発 みやぎ県民大集会」は、当初3月22日開催ということで賛同や参加を呼びかけてきたが、コロナウイルス感染状況を受けて、6月14日に延期となった。が、4月16日に宮城県でも「緊急事態宣言」が発令され、現状では6月の開催は難しいのではないかということで、一旦白紙となった。
 しかし、県などは、来年の知事選などをにらみ、ずるずると「同意」決定を先延ばしにしたくないことも考えられ、9月県議会での議決の可能性は否定できない。したがって、タイミングをみて集会・デモを実行委員会として呼びかけると思うので、風の会としても全面的に協力していきたい。また、神田香織さんの講演会についても、改めて準備されることが検討されているので、決まり次第ご報告したい。

●宮城県議会への「女川原発の再稼働をしないように求める請願署名」運動にご協力を!

 先にも述べたように、6月は無理だとしても、早ければ9月の宮城県議会で村井知事は再稼働の「同意」を表明する可能性がある(もちろん、その前に安全性検討会の最終報告や、各地での住民説明会、市町村長の見解などを踏まえてになるが)。そこで、県議会へ「女川原発の再稼働をしないように求める請願」を出そうという動きがある。これを市民の声で後押ししようと、現在署名運動が展開されている(ネット署名も検討中)。風の会としても、これに全面的に協力し、再稼働を止める市民の声を集中していきたいと考える。
<この署名運動にご協力いただける方がいれば、風の会に連絡いただければ署名用紙を郵送いたします(HPからも印刷できます)。よろしくお願いします。>
 先日の河北新報の世論調査でも、再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた反対意見は計61.5%となった。「賛成」「どちらかといえば賛成」の賛成意見は計36.3%であり、世論は圧倒的に再稼働反対である。しかし、議会では自民党・公明党が過半数を占めているため、この世論が議会に反映されない「ねじれ状態」が続いている。この壁をなんとしても打ち破るため、この世論をいかに「見える化」していくかが重要だ。当面は街頭での活動が限られる中、まずは上記の署名運動を展開していこう。
 5月15日、石巻市内14の市民団体が、石巻市長に「女川原発二号機の再稼働に同意しないように求める要請書」を提出。女川町や石巻市でも、議会での再稼働反対の請願が取り組まれている。この動きと連動して、全県的なうねりを、この夏から秋にかけて作り出していこう。
(風の会事務局 舘脇)