会報「鳴り砂」2023年7月20日号が発行されました

会報「鳴り砂」2023.7.20号
会報「鳴り砂」2023.7.20号別冊

(一面論文です)
国策に異議あり! みんなの声を集め、高らかにアピールしよう!!
ストップ!女川原発再稼働意見広告運動=紙面デモにご協力を!

6月20日夜、宮城県民会館にて、「ストップ!女川原発再稼働 紙面デモ(意見広告)運動キックオフ集会」が開催され、いよいよ意見広告運動がスタートした。東北電力が2024年2月女川2号機の再稼働の姿勢を崩していないなか、宮城県民そして全国の市民はこの再稼働を決して認めていない、あくまで反対だという思いを、新聞紙面を通じて結集させようというのが、この「紙面デモ」の目的だ(くわしくは意見広告運動のチラシまたは https://stop-onagawa-nuke.jp/ 参照)。
 今年9月の『河北新報』での掲載に向け、諸費用あわせて400万円を集め切るとともに、この過程を通じて、さらに再稼働反対、そして岸田政権の原発回帰の政策転換は許されないとの世論を盛り上げていこう。

●改めて「怒り」と「尊厳」を共有したキックオフ集会~国策だからといっていいなりはおかしい!

 キックオフ集会では、まず発起人の一人である篠原弘典さんが、この間の状況について発言した。「脱原発東北電力株主の会」の代表でもある篠原さんは、株主総会の招集通知書を手に、東北電力は過去最悪の財務状況であり、配当はゼロで、有利子負債は3兆3756億円にものぼっているとして、「こんな会社に原発再稼働を任せていいのか」と指摘。また2020年以降の2号機を巡る動きを振り返りながら、規制委員会が「合格」をだし、宮城県の安全性検討会も明確な判断もせずに閉じてしまった後になって、サプレッションチェンバーの耐震性の問題や、水素爆発への対応の変更など、次々と問題が明らかになり、「安全性はなんら保証されていない状態」だと喝破する。そして、女川原発のそばに設置した「事故で止まるか、みんなで止めるか」という看板を引き合いに出して、「2度と福島のような事故を起こしてはならず、みんなで止めよう!という思いを集め、県民投票条例を求める運動の時のような盛り上がりをつくり、世論がどこにあるのか示していこう!」と檄を飛ばした。

次に、同じく発起人の半田正樹さん(東北学院大名誉教授)が、この運動の趣旨について発言した。「6月20日は私の個人的記念日です」と切り出した半田さん。つまり1958年6月20日、フランスの深海潜水艇バチスカーフが当時の潜水記録3,100mを作ったのだが、その潜水地点が女川沖で、そのテレビニュースを見た半田少年にとって「女川」という地名が心に刻まれた記念日だというのだ。「それはともかくとして、あの3.11以降、私たちは大小様々な集会・デモ・アピールを続け、もはや原発の再開はあり得ないと思ってきたが、2018年以降、県民投票条例の県議会での屈辱的な否決や、最近では差し止め裁判における、果たして裁判官に知性はあるのかと疑うような判決と、逆風が吹いている」として、この動きに抗する取組みとして今回の意見広告運動を紹介した。
 「しかし、これは市場原理主義のど真ん中での運動です」として、「そもそも広告には4つの要件があります」と分析をする。つまり、①広告主②訴えたい中身をもっている③マスメディアを使う④有料である、ということだが、それぞれ①広告主は最終的には名前を掲載(匿名も含め)する全員 ②例えば、今回の呼びかけ人の一人の小出裕章さんは「今だけ・金だけ・自分だけ」の政治に流されている動きに異議を訴えたいとしているが、自分(半田さん)としては、国策だから何を言っても始まらないということではなく、地元のことは自分たちで決める、国策の押し付けには黙っとらん、という地域主権の大原則に力点を置きたいと思っている。このように、10人いれば10個の言いたいことがあるはず ③この間、原発問題の本質は何であるのかについて掘り下げてきた『河北新報』の姿勢は変わらないであろう ④諸経費あわせて400万円は少ない額ではないが、時間は限られているが不可能ではない、と分析した。その上で、「原発のない女川へ、を願いつつ、今日6月20日を新しい私たちの女川記念日とすることを確信して」話を締めくくった。

 続いて、呼びかけ人から女性3人が発言した。最初に「女性ネット」の本田永久子さんが、2012年6月に女性ネットが行った『河北新報』の1面広告「子どもたちに原発のない社会を!」を提示しながら発言した。「この時は日頃付き合いのない方も含め75人に呼びかけ人になってもらい、5000もの個人・団体から賛同が集まりました」「当時は民主党政権で、今後は原発が縮小していくと思ったのですが、この間前進しているとは思えず腹だたしい。当時からみんな11才年をとって、若いときの意気込みとは違ってきていますが、それでも粘り強く頑張っていきたい。子どもたちに安全・安心な社会を手渡したい。11年前とは違って、ネットなどで広く取り組みができると思いますので、ご一緒に力をあわせていきましょう。」

 次に東北文化学園大准教授で「週刊金曜日みやぎ読者会」の馬内里美さんが発言にたつ。女川原発再稼働差し止め裁判では、原告に危険性を立証することを求め「門前払い」だったことにもやもやしたが、「週刊金曜日」4月7日号には、伊方原発の仮処分について「立証責任転換論」についての記事があったことを紹介した。つまり、裁判では本来は訴訟を起こした原告側が事案に対して立証責任を負うものだが、4大公害裁判を通じ、被告が安全について立証しなければ、その主張に不合理な点があると推認すべきだという「立証責任転換論」が原発での裁判でも取り入れられつつあり(編集注:以前の女川原発運転差止請求の民事訴訟で初採用)、水戸地裁や札幌地裁はこれを採用した。しかし、伊方での仮処分や今回の仙台地裁はそれを採用しなかった。
 馬内さん自身は2006年に六ヶ所村再処理工場を見学するなどかねてから原発・核燃政策に反対してきたが、最近は「国策だから」「世論も変わりつつある」と諦めもよぎった。しかし諦めてはいけない。そうした巨大な相手に「尊厳をかけて闘うこと」を拠り所としていきたい。そこに損得ではなく闘う意義がある、そう力強く宣言した。

 呼びかけ人の最後に、あいコープみやぎ理事長の高橋千佳さんが発言にたつ。「今日は怒りをぶちまけたい」と宣告した高橋さんは、その言葉通り、皆の思いを代弁するかのように告発した。「6年前、福島から避難した子がいじめにあったとき、『震災でいっぱい死んだから、つらいけど僕は生きると決めた』と手記に書いたことを忘れることはできません。こんなことを子どもに書かせる社会に怒っています! 私の友人は保養で北海道にいき、そのまま移住し家族がバラバラになっています」「震災当時、Radiを手にしてあちこちの公園で放射能測定をし、除染を依頼したこともありました。また、あいコープでは逐一線量を測って出荷することで、生産者を切り捨てることはしませんでした。このように人々の生活が根底から崩されたあの原発事故の教訓は何だったんですか! ドイツでは脱原発を実現したことに比べ、何なんですか!この日本の政策転換は。60年以上の稼働、信じられません! 新規の原発、何を言っているんですか!」「5月24日も怒っていました。差し止め裁判の判決です。原告に立証させるなんてため息しかでません。不誠実すぎます」「そしてアルプス処理水です!私たち全国の生協の仲間で25万筆の署名を集めて止めるように訴えました、どうして止まらないのですか! 福島では漁業の本格操業がはじまったばかりです」「福島の隣県の宮城県の私たちが、原発はいらないと訴えてもいいはずだと本当に思っています。年月がたって、怒りが薄れることもあるかもしれませんが、そのような構図にならないよう声を上げ続けています。女川原発再稼働は絶対にあり得ないと、強い信念、使命をもって、決して諦めずこれからも運動を進めていきます」と、熱量を込めて訴えた。

 これらの思いのこもった発言をうけて、最後に発起人の多々良さんから、具体的な募金の方法について提案があった。(※詳細は下記サイトやチラシ参照)
 今後はデザインなどの検討に入るが、さらに目標の達成に向け気運を上げるため、8月11日には小出裕章さんを招いての「スパート集会」も準備されている。ぜひ多くの方の賛同を訴えます。
 (舘脇)

●ストップ!女川原発再稼働意見広告(紙面デモ)
個人1口1,000円、団体1口3,000円
詳しくは下記参照
HP https://stop-onagawa-nuke.jp/
Facebook https://
www.facebook.com/stop.onagawa.nuke
Twitter https://twitter.com/onagawaiken
クラウドファンデング
https://readyfor.jp/projects/stop-onagawa-nuke(8月末まで)
※クラウドファンデング以外は9月以降も受付いたしますが、掲載予定は9月なので、できるだけ8月末までにお願いいたします。