≪短信:女川2硫化水素防護不備の指摘は有害情報?≫

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≪短信:女川2硫化水素防護不備の指摘は有害情報?≫

 警視庁は、この間の特殊詐欺事件・広域強盗事件の実行犯募集に使われた「闇バイト」等のネット有害情報について、サイト管理者への削除要請を2月15日から前倒しで実施するとのこと<2.15岩手日報>。注目すべきは、「爆発物・銃器の製造」などの有害情報の一例として、「硫化水素ガスの製造」も挙げられていたことです。
 それを見て、この間の女川原発「2021.7.12硫化水素流出・労災事故」に関する筆者の論考(の一部)が「有害情報」として閲覧制限を受けるのでは?と、少し心配になりました<*冗談。しかも、制限されなくても(残念ながら)閲覧者は僅少ですので、影響なしです。ただ、東北電力・規制委にとっては「有害情報」でしょうか>。
注目した本当の理由は、「硫化水素」が「爆発物・銃器」のような危険性・有害性を有するものであることが一般常識となっていると思われたからです。
 繰り返しになりますが、女川原発では、そのような「硫化水素」が、1号機沈降分離槽で絶えず製造(微生物学的に生成)・蓄積され、(曝気作業時に正規の換気系経由で)排気筒から大量・高濃度で無処理放出され、2号機中央制御室の空気取入れ口に“(致死量以上の)高濃度で到達”し、運転員らが知らぬ間に吸引する可能性があるのです。また、7.12事故では、(曝気量倍増に相応した排気量を設定しなかった単純な人為ミスで)換気系で排出し切れなかった「硫化水素」が、1・2号機接続配管という“想定外”の経路(抜け道)を逆流し、2号機制御建屋に“高濃度で流出”し、吸引した作業員7名に健康被害(幸いにも死には至らず)をもたらしたのです。
 にもかかわらず東北電力は、7.12事故について、各種データも一切公開せず、真の流出原因(排気量設定ミス)も公表せず、「設備共用・配管接続の解消・撤去」などの根本的な再発防止対策を講じようともしていません(多くの時間・経費がかかるという経済的理由で)。また、事故前の月一度の曝気作業時の放出量・無処理放出濃度のデータも公開せず、無処理放出の妥当性判断に必要な「拡散計算」も実施せず、運転員らの(高濃度)吸引可能性も検証せず、それらを隠ぺい・正当化するため、『毒ガスガイド』の不備に乗じて1号機沈降分離槽は‘敷地内固定源(発生源)ではない’という詭弁を弄し、法の求める毒ガス防護対策(検出・警報装置の設置)さえ実施しないまま、女川2を再稼動させようとしているのです。
 一方、規制委・規制庁も、東北電力の‘固定源なし’とのあからさまな詭弁を“鵜呑み”にし、上記の数々の問題点をすべて不問に付し(自身の能力・人材不足+東北電力に配慮?)、また、7.12事故で明らかになった「硫化水素の微生物学的生成・隠れた固定源」という「新知見」を毒ガスガイド改訂や毒ガス防護審査に反映させることもせず(職務怠慢)、“上っ面だけの審査”で合格を与え、女川2の早期再稼動に便宜を図っています。
 このような女川2「硫化水素」防護不備にかかる指摘は法的・科学的事実であり、「有害情報」ではありませんので、多くの方に拡散していただければと思います。
 <2023.3.2完 仙台原子力問題研究グループI>