157回「技術会」傍聴記―地震でブローアウトパネルが開いても発電所の安全性への影響はない??―

157回「技術会」傍聴記
女川原発関連 157回「技術会」傍聴記
―――地震でブローアウトパネルが開いても発電所の安全性への影響はない??―――

2021年8月4日に「第157回女川原子力発電所環境調査測定技術会」を傍聴してきました。簡単に気になった所だけを報告します。
傍聴は、私とHさん、Sさん,電力関係1名のみで、マスコミはゼロした。(今回は、来てほしかった!)

・佐藤達哉会長(宮城県復興・危機管理部長)が議長で、いつもの通り「放射能測定結果」と「温排水調査結果」が報告され評価し了承された。
・当日の資料は、後日宮城県のHPへ掲載されるはず。(但し、遅いです。)
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/gentai/o-kyogikaigijyutukaikentokai.html
宮城県 協議会・技術会・監視検討会 会議資料・議事録

● 1号機で、2021.6/4以降(特に6/9,7/2)に放水口モニタが、異常に上昇したが、それは、検討の結果「海水系のポンプ停止したため、天然放射性物質を多く含む淡水層の影響」とのこと。(資料-1 P11、参考資料-4 参照) 海水系のポンプが停止すると、検出器付近の下層まで淡水層(天然放射能含む)が下がり計数率上昇。又、ポンプが動きだすと、比重の小さい放出水が、流入し、一時的に計数率が、かなり上昇(6/9,7/2)。 148回(2019年)、134回(2016年)技術会でも同様のこと報告あり。下記参照。
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/729757.pdf
女川原子力発電所1号機 放水口モニター係数率上昇事象について

・即座に 計数値上昇の原因を理解するのは、困難のようで、関根委員からは、「前回も改善を申したが、これでは、バックグラウンドのモニタリングが出来ない。」と強烈な批判があった。(2016年から改善なしだ。)
・岩崎委員からは、液体廃棄物が、漏れていないと、確認できてないのではないか。(と言ったように聞こえた。)1号機は、廃炉に伴う廃棄物のモニタリングが出来ていない。宮城県の方で、廃炉に伴うモニタリングを考えてくれと要望。県は、検討するとのこと。
・有働委員からは、資料4の説明は、カクド(確実度のことか?)が分からない。
・白崎委員からは、資料4の説明は、定性的ではなくもっと定量的な説明をと注文。
(ここまで、おおよそ1時間30分ほど時間経過した。珍しいです。)

●温排水調査結果や、令和2年度の放射能調査結果は、30分ほどで、すんなり評価、了承。
●報告事項 「女川原子力発電所の状況について」
・岩崎委員の「2月の地震でブローアウトパネルが開いたのは、問題ではないか」趣旨の質問に対して、東北電力は、「タービン建屋のブローアウトパネルなので、地震で開かなくなるのが問題で、開くのは、安全性への影響はない」趣旨の発言をしたため、岩崎委員が激怒発言。使用済み燃料プールへの多数のボルトの落下を含め、東北電力の「能力が疑われる」とまで発言。
 (ブローアウトパネルとは、建屋破壊防止のため、建屋内を減圧するためパネルを開けるが、放射能も出すことがある。)
●山崎委員から、硫化水素漏れによる7名の体調不良者発生(7/12)について、原因究明し何らかのまとめを報告するか(と言ったように聞こえた。)質問。東北電力は、報告すると回答した。(と聞こえた。)・・・(正確な議事録が、早く見たいです。)
 硫化水素問題は、1号機廃棄物処理建屋から、2号機の制御建屋へ毒物が、流れ込んだというテロも含む深刻な問題と思われるが、会議の時間がだいぶ経過した為もあってか、ほとんど議論が深まらなかった。「技術会」の性格の限界でもある。「女川原発危機対策検討会」などの新たな組織が必要だ。
●有働委員から、ボルト落下(複数回)、硫化水素流入等々、アクシデントが発生した場合、それぞれについて、記録はあるのかと質問。(個々のアクシデントの記録を取り、原因を探り、対応することが、うまくいってないのではないかとの言外の意味を感じた。) 東北電力は、やっていると回答。
●宮城県原子力安全対策課の公式ツイッター @n-info-miyagi  運用が、7/16から始まった。 

〇本年4月から原子力安全対策課が、宮城県復興・危機管理部に移ったせいか、議論が少しは真剣になったかなと感じられた。(過剰の期待は、できないが・・・。)
(2021.8.5.記) 兵藤則雄