2021.6.25『第97回東北電力定時株主総会への事前質問書』と東北電力の一括回答及び事後回答

2021年6月25日 『第97回東北電力定時株主総会への事前質問書』と 東北電力の一括回答及び事後回答
全部で114項目の質問と回答です

以下、そのうち35項目について以下抜粋です

2021.6.25『第97回東北電力定時株主総会への事前質問書』と東北電力の一括回答及び事後回答(抜粋)

1.事業報告にある様に、国は2050年のカーボンニュートラル(CO₂の排出量実質ゼロ)に向けた方針を表明しましたが、この方針によって当社の原発・再生エネルギー計画に変更はありますか。
【回答】当社は、本年3月に東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050を公表しており、再生可能エネルギーと原子力発電の最大限の活用に加えて、火力電源の脱炭素化、電化とスマート社会実現事業を通じて、カーボンニュートラルの実現に挑戦していきます。息の長い取組になりますが、当面、再エネの開発目標である200万kWの早期達成、原子力は安全確保を大前提に女川2号機をはじめとする既設プラントの再稼働に注力していく考えです。

7.現在、原子力規制委員会で女川原子力発電所2号機の工事計画認可申請に係る審査が進められていますが、この審査で合格が出される時期はいつ頃になる見通しですか。2022年度の安全対策工事完了の目標は達成出来そうですか。
【回答】女川2号機の工事計画については、現在審査中ですが、本年3月31日に予め計画していた補正書の提出が完了しております。現在、それらを含めた原子力規制委員会の審査に対応しているところです。審査の進め方や今後のスケジュールについては、原子力規制委員会が判断するものであることから、当社からお答えする立場にはありません。

8.この女川原子力発電所2号機の安全対策工事費はこれまで公表されてきた3400億円から変更はありませんか。その支出額は今年3月末時点でいくらになっていますか。どの項目にどの様な名目で計上されていますか。主な工事項目とその費用について明らかにして下さい。
【回答】女川2号機の安全対策工事費については、現時点で、防潮堤などの共用施設に関わる工事費を加えた総額3,400億円程度という評価に変更はありません。2020年度までの女川と東通の累計は約2,860億円であり、引き続き設計の最適化や調達面での様々な工夫と安全確保を最優先とした効率化などにより、工事費の低減に努めてまいります。

9.女川原子力発電所2号機に新たに建設されるテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の建設に向けた準備状況について説明して下さい。昨年2月、原子力規制委員会から原子炉設置変更許可が出されて以降5年以内の運用開始が義務付けられていますが、実現可能ですか。この施設の建設費用はどの位になると見積もられていますか。
【回答】特定重大事故等対処施設については、本体施設の工事計画認可後、5年以内の設置が法令で求められています。女川2号機の特定重大事故等対処施設については、施設の概要や成立性といった基本設計を検討しており、準備ができ次第、設置変更許可申請を行うこととしています。現時点では、具体的な申請時期を申し上げる状況にはありませんが、期限内の設置に向けてしっかりと取り組んでまいります。なお、工事費については、現在、設置変更許可申請に向けた検討を行っているところであり、具体的な評価ができる段階にはありません。

11.「女川原子力発電所1号機については、昨年7月、廃止措置計画に基づき、安全確保を最優先に廃止措置作業に着手いたしました」とありますが、昨年7月どんな作業から開始しましたか。1年余りで作業はどの程度進みましたか。
【回答】女川1号機の廃止措置は、原子力規制委員会より認可された廃止措置計画に基づき、全体工程を4段階に区分して実施することとしており、現在、第1段階の作業を実施しています。具体的には、核燃料物質による汚染の除去として、原子炉冷却材浄化系循環ポンプ配管の汚染の除去作業を実施しました。また、設備の解体撤去として、管理区域外設備の窒素ガス供給施設装置の解体撤去を実施しました。なお、こうした作業の状況については、当社のホームページで進捗状況を情報提供しております。

13.この廃炉作業で重要なのは、使用済核燃料の管理・処分をどう行うのか。廃炉廃棄物をどの様に処分するのかですが、この課題の解決方法は確定出来ましたか。
【回答】女川1号機の使用済燃料は、廃止措置計画における原子炉領域周辺設備の解体撤去期間の開始前までに、1号機から3号機に搬出または再処理事業者に譲り渡すこととしています。女川3号機に搬出する場合にも、廃止措置が完了するまでに再処理事業者へ譲り渡すこととしています。女川1号機の廃止措置に伴い発生する低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルにより分類し、それぞれのレベルに応じた処分施設に埋設することとなっており、その処分先の確保については原子力事業者共通の課題であり、引き続き検討を進めてまいります。

14.1号機の廃炉措置に伴う廃炉廃棄物のうち放射能レベルが比較的低いL3の放射性廃棄物はトレンチ処分する計画の様ですが、その処分計画はいつごろ発表されるのでしょうか。その処分地は女川原発の敷地内ですか。遮断型処分場での管理・処分が適切だと考えますがどうですか。また、L1、L2の放射性廃棄物の処分計画についてはいかがでしょうか。
【回答】女川1号機の廃止措置に伴い発生する低レベル放射性廃棄物のうち、放射能レベルの極めて低いものの処分方法についてはトレンチ処分を行う場合の基準等が法令に定められています。廃止措置に伴い発生する低レベル放射性廃棄物の処分先の確保については、原子力事業者共通の課題であり、引き続き検討を進めてまいります。

15.廃炉廃棄物の処理・処分は地域住民に直接影響を与える計画ですが、「地域のみなさまへ分かりやすい情報提供を行うとともに、理解を深めていただけるよう取り組んでまいります」という当社の姿勢を示すためには、女川原発の敷地も含め、もし女川町内で処分されるとすれば、町議会や住民に決定前に説明する必要があると思いますが、その予定はないのでしょうか。 
【回答】廃止措置の実施状況については、当社ホームページ等により、地域の皆様をはじめ、より多くの皆様へ分かりやすい情報発信に努めており、引き続き丁寧な対応に努めてまいります。

16.附属明細書の電気事業営業費用明細表で当年度の原子力発電費は978億5400万円が計上されています。発電して利益を作り出していない設備に、これだけの維持管理費が掛かっています。当社の原発は東日本大震災で停止して以降10年間、発電して利益を生み出していません。この10年間での原子力発電費の総額はいくらになっていますか。
【回答】原子力発電所については、停止中においても保安のための監視や補修工事など様々な業務が発生しており、これらに伴い修繕費や委託費等の必要な費用を計上しています。2020年度については978億円の原子力発電費が発生しており、また震災以降の原子力発電費の累積は9,694億円となります。

20.当社は昨年、女川原発2号機の連続運転期間について、通常の13か月間から延長する意向であること。東通原発1号機についても、16か月に延長する計画があったことが報道されていますが、事実でしょうか。理由は経済性からですか、安全性に問題はないのでしょうか。
【回答】当社は、昨年2月の原子力規制委員会と当社との意見交換において、安全確保を大前提とした上での課題の一例として、過去に東通で国内事業者初となる長期サイクル運転に取り組んだことを紹介しました。再稼働後は、継続的な安全性向上を図りながら、日常的な安全安定運転のための活動に加え、さらなる稼働率の向上に向けた施策として長期サイクル運転を検討し、運転期間中の総発電量の増加と火力発電の割合低下による燃料価格変動影響の緩和やCO2排出量の抑制にも寄与してまいります。また、原子力エネルギー協会を中心とした長期サイクル運転導入に向けた技術的課題整理にも取り組む計画としています。

21.女川原発2号機は1995年運転開始ですから、今年7月でまる26年が経過しています。たとえ計画通り2022年度に再稼働したとしても、40年運転までには13年の時間しかありません。これでは多額の設備投資費や廃炉費用が用立て出来ないと思われますが、どうですか。高浜原発の「60年運転」が始まるようですが、当社も女川原発2号機の60年運転を検討していますか。
【回答】原子力発電所の運転年数については、法律に基づく運転期間延長認可制度を踏まえ、個別に検討し、判断することになります。女川2号機は、本年7月で運転開始から26年になり、今後30年経過するまでに実施する高経年化技術評価も踏まえて個別に検討する必要があることから、現時点で運転期間の延長について申し上げる段階にはないと考えております。

24.自治体が出資などで経営に関わり、電力の小売りを手掛ける地域新電力が東北で台頭していると報じられています。当社管内の地域新電力のおおよその総電力量、その伸び率を教えてください。
【回答】地域新電力の数については把握しておりません。なお、東北エリア内に供給している新電力の総電力量は2020年度で約109億9,000万kWh、伸び率は2019年度と2020年度との比較で約6.9%の増加となっています。

27.原子力災害リスクについて次の質問に答えて下さい。
(2)福島やチェルノブイリの原発事故に匹敵する事故を当社の原発が起こしてしまった場合のリスクについて、どれほどの距離的範囲でどれほどの人的被害・経済的被害があると評価していますか。当社にはそのような事故の賠償等ができる能力がありますか。もしそのような検討をしていないとすれば、理由を示してください。
【回答】原子力の利用に当たっては、安全対策に万全を期していくことが大前提となりますが、万一の事故による被害者の保護、原子力事業の健全な発展を図ることを目的として、原子力損害の賠償に関する法律が制定されており、この法律に基づき事業者が賠償責任を負います。当社は、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約を締結しており、これらの保険から1サイト当たり1,200億円までの賠償金が支払われます。また、賠償措置額である1,200億円を超える原子力損害が生じた場合においても、原則として当社が無限責任を負うことから、必要に応じて原子力損害賠償・廃炉等支援機構から資金の交付を受けることとなります。

39.日本原子力発電への支援に関して、以下質問します。
① 親会社の東北電力は、今期、当期純利益66億円の損失、赤字に転落しました。ところが、原発専業の日本原子力発電の2021年3月期連結決算は、売上高963億円、内、販売電力量はゼロだが、当社を含む大手電力からの「基本料金」収入が933億円あり、純利益は27億円でした。当社は、「他社購入電力料」という名目で、「基本料金」として毎年約100億円近くも支払っている場合ではないと思いますが、取締役はどう責任をとるのですか。
【回答】当社は、東海第二の再稼働の蓋然性、日本原電の事業継続等、当社メリットを十分に評価するとともに、原子力のパイオニアとして蓄積している日本原電の技術的知見なども総合的に勘案して、東海第二の基本料金として応分の費用を負担する契約を年度ごとに締結しております。今後とも同様の考えの下、適時適切に判断してまいります。

④ 昨年の回答で、「2019年度末現在、日本原電に対し約73億円の債務保証を行っております」とありましたが、現在の債務保証額はいくらですか。また、電力(東京電力・東北電力・関西電力・中部電力・北陸電力)と大手銀行の資金支援計画案によれば、当社は22年末までに約240億円、23年以降約240億円の債務保証等を行なうとのマスコミ報道に対し、「本件について当社として決議した事実はありません」と述べていましたが、検討もしていないのですか。債務保証等をやめると、「適時・適切に判断」する時期ではないですか。
【回答】当社は、2020年度末現在、日本原電に対して約117億円の債務保証を行っています。また、ご指摘のような報道があったことは承知していますが、将来の債務保証について、当社が具体的な検討を行ったという事実はありません。当社は、東海第二発電所の再稼働の蓋然性、日本原電の事業継続性及び当社メリット等を十分に評価した上で、今後も日本原電に対する支援を判断してまいります。

45.損益計算書によれば、原子力発電費が978億5400万円と、現時点で発電していないにもかかわらず経常利益や純利益を大きく上回る金額となっています。原子力発電所を再稼働した場合とこのまま廃炉にした場合の費用と収益をいくらほどと見込んでいますか? その内訳とともに明らかにしてください。40年運転した場合と、60年まで延長した場合の、それぞれの費用と収益を明らかにしてください。また、もし再稼働した場合、どの発電を減らすことになるのか示してください。
【回答】なお、原子力が再稼働した場合には、火力発電を焚き減らすことになりますが、燃料費低減効果は一定の前提を置いた概算値として、女川2号機の場合、年間300億円程度と見込んでおります。

47.女川原発3号機は震災前、プルサーマルでの運転を許可されています。東北電力としては、やはり3号機でプルサーマル運転を行う予定でしょうか? もし3号機の再稼働に向けた原子炉設置変更許可申請を行うときには、その旨を明示するのでしょうか。
【回答】女川3号機でプルサーマルを実施する計画に変わりはありません。

48.フィルターベントについて。女川原発2号機に設置したフィルターベント装置は、日本の原発に導入されるのは初めてで、実績がありません。実際に稼働したら、うまく働かない可能性もあります。使用前に試験をする予定はありますか。また、万が一予定通り作動しなかった場合の対処方法を教えてください。その対処方法の一つとして、耐圧強化ベントを使用する可能性はありますか。 
【回答】フィルター付格納容器ベント装置は、これまで国内での設置実績はありませんが、当社はヨーロッパで実績のあるフィルターを女川2号機に導入しています。フィルター付格納容器ベント装置等の重大事故等対処設備は、再稼働に際して、使用前事業者検査により要求機能を満足していることを確認することとしており、運用開始後も要求機能を維持していることを定期事業者検査で確認することとしています。
  フィルター付格納容器ベント装置は、信頼性が高い設備ではありますが、万一、中央制御室から操作できない場合においても、人力で現場操作することができ、不測の事態にも対応できるものと考えています。
  なお、耐圧強化ベント系は、格納容器除熱の多様性を図る観点から、炉心損傷前の除熱手段として設置するものですが、フィルター付格納容器ベント装置を優先して設置する、使用することとしています。

49.女川原発から出される使用済み核燃料を、むつ市の中間貯蔵施設に一時保管する、という計画はないのでしょうか。また、女川原発の敷地内での乾式貯蔵を行うことは決定されたのでしょうか。行うとすれば、いつ頃から開始される予定でしょうか。
【回答】当社の使用済燃料の貯蔵は、当面は現行の使用済燃料プールを活用することを基本としています。当社としては、将来にわたって原子力発電所を安定的に運転していくために、使用済燃料貯蔵対策が重要な課題の一つであると認識しており、敷地内または敷地外における乾式貯蔵施設等、種々の貯蔵方策について検討を行っています。地域の皆様のご理解が得られるよう、丁寧な説明を行いながらしっかりと取り組んでまいります。

50.女川原発2号機の再稼働の時期は、安全対策工事終了からどれくらいの時間を想定していますか。
【回答】女川2号機の安全対策工事については、2022年度の工事完了を目指して全力で取り組んでいるところです。再稼働に向けては、安全対策工事の完了に加え、長期間停止している設備の点検確認等取り組むべき事項があり、これらを着実に進めてまいりたいと考えています。

55.プラントの安全対策・審査内容について。最新の知見によれば、3.11の福島原発事故で水素が漏れたのは、圧力容器のフランジ部からとの指摘があります。炉心が溶解しているような異常高温下で、このフランジ部や主蒸気配管などの重要配管が構造や機能を維持できるかどうかの解析は行っているのでしょうか。
【回答】ご指摘の知見について報告されていることは、当社としては承知しています。水素が漏れ出ることを防止するためには、まず原子炉内で水素を発生させないことであり、そのため原子炉への注水、除熱機能の強化を図り、高温下で燃料と水が反応して水素が発生することを防止しています。その上で、万一水素が発生し、原子炉から原子炉格納容器内に漏れた場合の対策として、原子炉格納容器の閉じ込め機能を強化しています。具体的には、原子炉格納容器の圧力を下げる代替循環冷却系の設置や原子炉格納容器上蓋等のシール材を高温高圧の環境下で高い性能を有するシール材に変更するなどの対策を取っています。今後も、新たな知見が得られた場合には、自社施設への適用検討を速やかに実施し、さらなる安全性向上を図ってまいります。

57.他にも様々な安全対策が実際に機能するのか疑問です。とくに、静的触媒式水素再結合装置、および屋外放水設備が、飾りではなく有効に機能する根拠を示して下さい。前者は、発生する水素に比べて、再結合する量があまりにも少なく、事故時には機能しないとの指摘があります。また、後者については、宮城県が設置した「女川原子力発電所2号機の安全性に関する検討会」でも「うまく働く根拠を示してほしい」との指摘がありながら、まともな回答がありませんでした。巨額を投じながら、実際には機能しないのではないかと懸念されますので、しっかりした説明をお願いします。
【回答】静的触媒式水素再結合装置の設計に当たっては、十分な保守性を持たせるため、原子炉内の燃料の被覆管が全て反応した場合に発生する水素発生量を考慮しています。また、水素再結合装置の水素処理能力を基準の半分しか処理できないとするなど、幾重にも余裕を持たせた設計としています。
  水素再結合装置の触媒は、製造メーカーによる材料成分や寸法及び触媒性能の確認試験を実施しており、加えて定期点検ごとに試験装置を用いた性能試験により、触媒性能を確認し、維持管理していくこととしています。
  さらに、原子炉建屋の損壊等に伴う放射性物質の拡散を抑制するため、放水砲により原子炉建屋屋上への放水を行う運用としており、空中の微粒子状放射性物質は放水により拡散が抑制されることとなります。

58.現在行われている安全対策工事について以下質問します。
① 当社として、数ある安全対策工事のなかで、最も核心となるものはどの工事であると考えていますか?
【回答】当社の原子力発電所は、女川、東通ともに同じ東北地方の太平洋側に立地しているため、特に地震、津波の評価が重要です。女川については、耐震工事や防潮堤などの津波対策工事が重要と考えており、万全な対策が必要と認識しています。

② 防潮堤の地盤改良工事は、地下水の流れを止めて行う難工事ですが、現状の課題をおしえてください。
【回答】防潮堤のさらなる安全性、信頼性向上の観点で、地震により防潮堤を支持する地盤の一部が沈下したとしても、防潮堤の高さを維持できる構造から、地盤沈下自体を発生させない設計へ見直し、地盤改良工事を実施中です。地盤改良工法は他の一般工事でも採用されている工法であり、地盤状況調査や試験施工結果を基に順調に施工中です。

59.トリチウムの放出について。これまで女川原発では、累計どれだけのトリチウムが海洋、および大気に放出されたのでしょうか。また、2号機が再稼働された場合、年間どれだけのトリチウムが放出される予定でしょうか。そもそもトリチウムは原発(BWRの場合)のどこから排出されるのでしょうか
【回答】原子力発電所においては、原子炉内の核反応によりトリチウムが生成され、発電所設備の中で循環する水や蒸気に含まれます。その一部は気体や液体・気体廃棄物として管理された上で発電所外へ放出されます。液体廃棄物中のトリチウムは放水口から海洋へ放出しますが、放出濃度は法令の濃度より十分低く、運開以降の累積は10の12乗ベクレル程度です。震災前の実績では、年間10の10乗ベクレル程度放出されており、女川2号機再稼働後もこの程度になると予想しています。
  気体廃棄物中のトリチウムは、排気筒から大気へ放出しますが、放出濃度は法令の濃度より十分低く、運開以降の累積は10の13乗ベクレル程度です。震災前の実績では年間10の11乗ベクレル程度放出されており、女川2号機再稼働後もこの程度になると予想しています。

60.すでに女川原発は10年以上稼働していないことから、使用済核燃料は十分冷やされた状態だと思われます。万が一、冷却プールの水がすべてなくなった場合、住民が避難しなければならないほどの放射能(空間放射線量が1時間当たり20マイクロシーベルト以上で1週間以内に一時移転、同1時間当たり500マイクロシーベルト以上では数時間から1日以内に避難)が排出されるまで、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。また、再稼働されていない現状では、放射性ヨウ素が排出される事故は考えにくいことから、少なくとも再稼働されるまでは、万が一放射能が漏れる事故があっても、住民が安定ヨウ素剤を摂取する必要はない、ということでよろしいでしょうか。
【回答】女川原子力発電所は3.11地震以降長期間停止していることから、使用済燃料の崩壊熱量は小さく、使用済燃料プールの保有水が全喪失した場合であっても、空気の自然対流により冷却は可能であり、貯蔵されている燃料の健全性は維持されます。放射性物質を放出する事故に至る可能性は小さいものの、国の原子力災害対策指針に従い、万一の事態に備え、関係自治体において安定ヨウ素剤等の服用等の防災対策が整備されています。

84.附属明細書によると、原子力発電費の原子力発電施設解体費が75億9300万円計上されていますが、これは女川原発1・2・3号機及び東通原発1号機、4基合計の原子力発電施設解体費ですか。4基合計の解体費の総見積額はいくらですか。そのうち女川原発1号機の見積額はいくらですか。
【回答】原子力発電施設解体費は、原子力発電施設解体引当金に関する省令に基づき各プラントの見込運転期間にわたり、積立残存期間に応じて定額法により積立てまたは廃炉プラントは引当不足分を廃炉後10年間で定額法により積立てを行っていることから、4基合計で75億9,300万円を計上しています。4基合計の総見積額は2,343億8,800万円であり、このうち女川1号機分は419億7,200万円です。

86.第5号議案に対する取締役会の意見に、「女川原子力発電所第3号機については、同発電所第2号機に係る適合性審査で得られた知見・評価等を踏まえ、申請に向けた具体意的な検討を行ってまいります」とありますが、どの様な状況になったならば申請を行うのですか。申請はいつ頃になる見通しですか。
【回答】女川3号機については、女川2号機の適合性審査で得られた知見、評価等に加え、現在審査中の「工事計画」認可の内容を踏まえ、適合性審査申請に向けた検討を進めているところですが、現時点では申請時期について具体的に申し上げられる状況にございません。

90.当社の保有する核分裂性プルトニウム量は、当期末にはいくらになっていますか。kg単位で明らかにして下さい。どの再処理工場にいくらずつありますか。
【資料】配付資料に記載のとおりです。
・核分裂性プルトニウム保有量(2020年12月末時点)
約473kg
・内訳
① 国内  約74kg
    日本原燃 約63kg 日本原子力研究開発機構 約11kg
② 海外  約399kg
    仏国分(ORANO)  約203kg
    英国分(NDA)    約196kg 

92.東京電力福島第一原発事故の損害賠償費用について、一般負担金として当社の2020年度の負担額はいくらでしたか。これは1kwh当たり、1世帯当たりの負担額にするといくらですか。累計額はいくらになりましたか。
【回答】一般負担金は、事業者の相互扶助の仕組みにより、原子力事故に係る賠償への備えとして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき負担するものです。当社の2020年度一般負担金は約117億5,800万円です。これに昨年までの納付分を合算すると累計額は約983億円となります。また、販売電力量1kWh当たりの負担額は0.18円であり、当社の平均的なモデルにおける1世帯当たりの年間負担額は約560円です。

98.当社の2020年度の寄付金の額とその内訳を明示して下さい。
【回答】寄附金の支出については、当社事業との関連性や地域への貢献度合い等を総合的に判断し、実施しています。2020年度の支出総額は10億3,400万円です。
【回答を控える】内訳は、相手先もあることから回答を控えさせていただきますが、東通村への企業版ふるさと納税として10億円が含まれています。

99.当年度の販売電力量(小売)659億5000kWhの内訳は、一般水力、地熱、火力、原子力別で、それぞれいくらですか。卸売165億7000kWhの内訳についても明らかにして下さい。
【資料】配付資料に記載のとおりです。
・2020年度販売電力量(小売・卸売合計)に対する送電端電力量の主な内訳
   自社水力      79億kWh
   自社火力     509億kWh
   自社新エネ      7億kWh
自社原子力      0億kWh
融通・他社受電  268億kWh
   揚水用動力等    △1億kWh
   
  ※小売・卸売別に電源を特定していないため、それぞれの内訳はない。

103.当年度の一般水力、地熱、火力、原子力別の設備利用率は、それぞれいくらですか。
【資料】配付資料に記載のとおりです。
・当社発電設備における設備利用率(2020年度)
   一般水力  45.1%
   地 熱   48.0%
   火 力   53.7%
   原子力    0.0%

104.当年度の最大ピーク時電力はいつ、いくらでしたか。それは当社の発電設備能力のパーセントですか。また、年間設備利用率はいくらでしたか。
【資料】配付資料に記載のとおりです。
・東北エリアの最大電力:2021年1月8日(金)10時 1,480万kW
・東北電力の発電設備能力(1,669万kW)の88.7%
・当社発電設備の年間設備利用率:42.3%

106.宮城県の原子力担当部局からの天下りの社員は現在廃止になっていますか。宮城県からの天下りの社員は、現在何名在籍していますか。
【回答】当社は、専門分野に高い見識や豊富な経験を持ち当社の業務運営に適切なご助言をいただける方を個別に判断して採用を行っています。宮城県庁出身者は現在在籍しておりません。宮城県警出身者は、現在3名在籍しています。

113.女川原発・東通原発で安全対策工事として行われている「フィルター付格納容器ベント設備」の設置工事は、どの段階まで進んでいますか。
【回答】女川2号機のフィルター付格納容器ベント装置は、フィルター装置の容器が設置済みであり、配管敷設工事は実施中です。東通1号機のフィルター付格納容器ベント装置は、フィルター付格納容器ベント装置を設置するための地下ピットの掘削が終了し、現在、ピットのコンクリート打設といった軀体工事を実施中です。

114.当社の高レベル放射性廃棄物は、何処に何本保管されているか明らかにして下さい。その最終処分がいつ頃開始できると見通していますか。
【回答】当社分の高レベルの放射性廃棄物は、ガラス固化体としてフランスから20本返還され、現在、日本原燃の廃棄物管理施設に保管されています。なお、今後、20本程度がイギリスより返還される見込みです。また、最終処分については、当社も放射性廃棄物の発生者として、国、原子力発電環境整備機構と連携しつつ、地域の皆様との対話活動等を通じて様々なご意見を真摯に受け止めながら、ご理解が深まるよう取り組んでまいります。